七夕の願い

後片付け

初夏と言っても早朝は肌寒い。

白いナース服の上に羽織った紺色のカーディガンをぐっと前に引き寄せた。

エレベーターを降りて廊下を進み屋上に出る。

大きな笹の前に行き、子供たちがかけた短冊を一つずつ取っていく。

"かめんライダーになりたい"

"ユーチューバーになる!"

"たいいんできますように。"

子供のたどたどしい字で書かれている色んな願い事に心が優しく温かくなる。

隣合うようにかけられているピンクと青の短冊を手に取る。

ピンクの短冊には子供の字で"ワンちゃんをかいたい"と書かれている。

青の短冊を見ると子供が書くたどたどしさはなく、はっきりとした字で"妹の目が見えますように"と書かれていた。

それを見て誰が書いたか一瞬で分かり胸がぎゅっとなった。

最近車による交通事故で入院してきた真由美ちゃんのお兄ちゃんが書いたんだと…。真由美ちゃんは事故で両足を骨折して車椅子生活を送っている。しかも車にはねられて転がった時にぶつかり所が悪く両目を失明してしまったのだ。足は時間はかかるが治る、だけど目はどうしようもできない。

お兄ちゃんの気持ちを思うと胸がぎゅっと締め付けられた。
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