笑顔の仮面は君の前だけ壊れる
最後の証拠
第29章 最後の証拠
「全部なくなった……?」
私は信じられず、神崎主任を見つめた。
「保管庫は荒らされていた。でも、一つだけ残っていたものがある。」
主任はポケットから小さな鍵を取り出した。
それは、私が佐伯真奈から受け取った307号室の鍵とよく似ていた。
「これは?」
「地下資料室のさらに奥にある保管庫の鍵だ。」
朝比奈さんの表情が変わる。
「まだあそこは……。」
三人は急いで地下へ向かった。
地下二階。
普段は社員でも立ち入ることのない通路。
一番奥には、小さな鉄の扉があった。
神崎主任が鍵を差し込む。
カチッ。
重い音を立てて扉が開く。
部屋は埃に覆われ、長い間誰も入っていなかったことが分かる。
棚には箱が一つだけ残されていた。
朝比奈さんが慎重に蓋を開ける。
中に入っていたのは、一冊の分厚いファイルと、一台の古いICレコーダー。
「これだ……。」
朝比奈さんが小さくつぶやく。
ICレコーダーの再生ボタンを押す。
ザーッという雑音のあと、女性の声が流れ始めた。
『もし、この録音を聞いているなら……私はもう会社にはいないでしょう。』
佐伯真奈だった。
『朝比奈さんも、神崎さんも悪くありません。二人は最後まで私を守ろうとしてくれました。』
私は思わず朝比奈さんを見る。
彼は目を閉じたまま、静かに涙をこらえていた。
録音は続く。
『本当に怖いのは、一人ではありません。』
『あの人には協力者がいます。』
部屋の空気が凍りつく。
『その協力者は、今も会社で笑っています。』
その瞬間だった。
地下資料室の扉が、
ガタンッ!
と大きな音を立てて閉まった。
続いて、
ガチャッ。
外から鍵をかける音が響く。
「しまった!」
神崎主任がドアノブを回す。
開かない。
その時、扉の向こうから静かな声が聞こえた。
「そこまでたどり着くとは思わなかった。」
聞いたことのない声。
いや――。
どこかで何度も聞いていた声だった。
「でも、もう遅い。」
その言葉と同時に、地下資料室の照明が一つ、また一つと消えていく。
暗闇の中で、ICレコーダーだけが最後の言葉を再生していた。
『……犯人の名前は――』
そこで録音は、突然途切れた。
「全部なくなった……?」
私は信じられず、神崎主任を見つめた。
「保管庫は荒らされていた。でも、一つだけ残っていたものがある。」
主任はポケットから小さな鍵を取り出した。
それは、私が佐伯真奈から受け取った307号室の鍵とよく似ていた。
「これは?」
「地下資料室のさらに奥にある保管庫の鍵だ。」
朝比奈さんの表情が変わる。
「まだあそこは……。」
三人は急いで地下へ向かった。
地下二階。
普段は社員でも立ち入ることのない通路。
一番奥には、小さな鉄の扉があった。
神崎主任が鍵を差し込む。
カチッ。
重い音を立てて扉が開く。
部屋は埃に覆われ、長い間誰も入っていなかったことが分かる。
棚には箱が一つだけ残されていた。
朝比奈さんが慎重に蓋を開ける。
中に入っていたのは、一冊の分厚いファイルと、一台の古いICレコーダー。
「これだ……。」
朝比奈さんが小さくつぶやく。
ICレコーダーの再生ボタンを押す。
ザーッという雑音のあと、女性の声が流れ始めた。
『もし、この録音を聞いているなら……私はもう会社にはいないでしょう。』
佐伯真奈だった。
『朝比奈さんも、神崎さんも悪くありません。二人は最後まで私を守ろうとしてくれました。』
私は思わず朝比奈さんを見る。
彼は目を閉じたまま、静かに涙をこらえていた。
録音は続く。
『本当に怖いのは、一人ではありません。』
『あの人には協力者がいます。』
部屋の空気が凍りつく。
『その協力者は、今も会社で笑っています。』
その瞬間だった。
地下資料室の扉が、
ガタンッ!
と大きな音を立てて閉まった。
続いて、
ガチャッ。
外から鍵をかける音が響く。
「しまった!」
神崎主任がドアノブを回す。
開かない。
その時、扉の向こうから静かな声が聞こえた。
「そこまでたどり着くとは思わなかった。」
聞いたことのない声。
いや――。
どこかで何度も聞いていた声だった。
「でも、もう遅い。」
その言葉と同時に、地下資料室の照明が一つ、また一つと消えていく。
暗闇の中で、ICレコーダーだけが最後の言葉を再生していた。
『……犯人の名前は――』
そこで録音は、突然途切れた。