手を、つないで 〜ふたりの未来〜
4.航

 誕生日プレゼントを何にしよう。
 はっきり言って困っている。

 ネット検索はしまくった。どれも良くて、良くない。全然ピンとくるものがない。
 彼女が好きなのは、可愛いものだ。ぬいぐるみとか、ハンカチなんかの小物は彼女が可愛いと思った物を持っている。『彼女が可愛いと思った』物だ。
 これが案外難しい。花よりは動物。動物は猫グッズが多いから猫好きなのかと思ったら、1番は犬だった。犬以外は、特にどれというのはないらしい。猫グッズが多いのは、単に猫グッズが全体的に多いから、なのだそうで。
 一般的に可愛いと言われる物は、『可愛い』とは言うけど、手に取る物はその横にある物だったりする。要するに、ど真ん中ではないらしい。
 その法則が、俺にはまだわからない。なんとなく『これは良さそう……か?』くらいだ。

 彼女の誕生日を改めてお祝いしよう、と思いついたのは、昨日の夜中。
 隣で眠ってる彼女の無防備な寝顔を見て、お祝いしようと決めた。

 そして、仕事の隙間をぬって、ネットで買い物サイトや、周辺の店の情報を漁っている。
 背後に、人の気配を感じた。高井戸。
 振り向くと、無言で俺と俺のスマホを見ている。ニカッと笑う。
「ごめん、見えちゃった」
「覗き見は駄目だろ」
「さっき資料送ったって言おうと思っただけなんだけど。なんか朝から一生懸命見てるから、何かと思って」
「……仕事はしてるぞ」
「それはわかってる」
 高井戸は近くの椅子を持ってきて、背もたれを前にして座る。
「察するに」
「察するな」
「まあまあそう言わずに」
 高井戸が声を潜めた。
「プレゼントだろ?彼女に」
 俺にしか聞こえない声。
「初めての」
 図星過ぎて、言葉を失った。
 高井戸は『あー』という口をした。察しが良すぎる。
「初めてならやっぱり」
 スマホを出してきた。
「これだろ」

 『彼女がもらって嬉しいプレゼントランキング 第一位 アクセサリー』

 知ってる。知ってて避けていた。
 俺には選べないからだ。
 彼女は、普段アクセサリーをつけていない。理由は聞いたことはない。持ってはいるらしいけど、普段使いはしていない。
 もしかしたらアクセサリーをつけること自体が好きではないのかもしれない。それなら、プレゼントしてもかえって迷惑かもしれない。
 そう思ったら、もう選べなくなったのだ。

 黙り込んだ俺を見て、高井戸は苦笑した。
「続きは昼」
 そう言って席に戻っていった。
 何かいい方法でもあるのか。
 らしくないと思いながら、頼りにしてる自分がいる。ということは、考えていてもどうしようもない。
 じゃあ、昼まできっちり仕事しよう。
 切り替えて、モニターに向かった。



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