手を、つないで 〜ふたりの未来〜
明日は金曜日。でも祝日だから休みだ。今週は休日出勤はしない。
明日1日準備して、明後日に本番。日曜日はゆっくりして、3連休を終える。
計画通りに行くように、頑張るしかない。
そして気付いた。彼女の予定は?
聞いてなかった。最近、休みの日は大抵一緒にいたから大丈夫だと思い込んでいた。仕事かもしれないし、ちゃんと聞かなければ。
メッセージを送る。返事は直接聞きたいから、帰りに待ち合わせることにした。
最後に返ってきた『了解です』のスタンプは犬。もふもふしてる。彼女らしい。
急いで部屋を出た。出る時に、佐伯の席の横で何かを話していた高井戸がこっちに気が付いて、ひらひらと手を振ってきた。いつもなら目礼で返すところだけど、今日は軽く手を挙げて応えた。
駅に向かう間も、明日と明後日の段取りで頭はいっぱいだ。
彼女がホームで待っていてくれる姿を見て、改めて誕生日を祝いたいと思う。慣れてないし、完全にキャパオーバーだけど、それすらも喜びだ。
電車を降りて、彼女に土曜日の予定を聞く。誕生日祝いをしたい、と言った後に空いてるか聞いたのは、あざとかっただろうか。でも、OKと言ってほしかった。希望通り、彼女はOKしてくれた。嬉しそうにしている。良かった。
「やっぱり、夕ご飯食べませんか?」
彼女が、そう言ってくれた。
でも今日は眠いはず。俺もだけど、彼女の方が体力がないから余計なはずだ。
「でも、早く帰るつもりなんじゃ……」
「明日は休みだし、ご飯だけなら大丈夫です」
やけに力強く言う。頼もしささえ感じる。
明日は休みだけど、彼女に負担はかけたくないし、俺も家でやることはある。ご飯だけなら。じゃあ、これがいい。
「じゃあ、中森さんのカレーが食べたいです」
彼女が作ったカレー。この前、鍋一杯に作ってたはず。
「冷凍ストック、ありますよね?」
「ありますけど、あれでいいんですか?」
疑心暗鬼の彼女。
「前に食べたの、おいしかったので」
あのカレーはおいしかった。
彼女は料理上手なんだと思う。作ってくれるご飯はおいしい。口に合う、というんだろう。
「あれで良ければ」
「サイコーです」
彼女が嬉しそうに笑う。この笑顔とカレー。本当にサイコーだ。