手を、つないで 〜ふたりの未来〜
9.茉歩
2日後のこと。
彼と一緒のチームにいる木原さんがバタバタしている。どうやら仕様変更があったらしい。
「ええーこれじゃ残業確定……」
おおきなため息が聞こえた。
「用事でもあるの?」
早苗ちゃんが聞く。木原さんは、私たちの隣の列にデスクがある。
「用事はないんですけど、最近この部屋出るって噂だし、夜にいるの怖いじゃないですか」
……もう出ないよって教えてあげたい。
早苗ちゃんが苦笑しながら言う。
「盛り塩とかしてみる?」
「効果ありますかね」
「放置しないでちゃんと管理すればいいってなにかで見たことあるけど」
「じゃあやってみようかな。でもやっぱり怖いです」
苦い顔の木原さん。
「あの……手伝えることがあればやるよ」
言ってはみたけど、木原さんは首を横に振る。
「ありがとうございます。でも、これ私しかできないので……1人になったら、音楽でもかけながら頑張ります」
ああ、罪悪感が……。
定時を30分くらい過ぎた頃。帰る人は大体帰っていった。
木原さんが、残っている私に気付いた。
「あれっ?中森さんも残業ですか?」
「うん、ちょっと急ぎでやることできちゃった」
「わあ、心強いです」
ほっとした顔の木原さん。ごめんなさい、私のせいで。
急ぎではないけど、やることはある。他に残業する人はいないみたいだし。これで帰ったら、罪悪感で眠れそうにないし。
木原さんと私の、パソコンを操作する音が響いた。