その食べ方が好きなんです

2.何か話したいことでもあるのか?


 うちの社食はうまいと思う。

 営業で他の会社に行って、社食を利用させてもらったこともあるが、この日替わり定食や季節の定食は中で手作りされているせいか、同じメニューでも段違いにうまい。

 その割に、値段も抑えられている。特に、ひと月分を給料天引きにすると二割引きになったりする。

 そういったところはさすがに食品関係の会社だけのことはある。

 本社に来てからはすっかりここで食べるようになった。

「なあ、柊」

「なんだ?」

 隣の小林は同期で他の営業部の課長だ。こいつはとにかくたくさん食べる。定食だけでは足りず、毎日パンも買っている。

 今日も定食がすでに空で、メロンパンをデザート代わりに食べ始めていた。

「あの、斜め前にいる女子、お前のこと見てるような気がするんだ。おとといも見てた気がする」

「放っておけ」

「……いや、ほらお前がモテるのはわかっているけど、そういう感じじゃないような気がする。それにあの子見たことがあるような……お前の営業部の所属だよな?結構可愛いから入社した時噂になってた」

 俺はそう言われて初めて斜め前に目線を向けた。目が合った、だがすぐに目を反らして下を向いて食べている。あれは……紺野だ。

「……確かにうちの女子社員、紺野だ」

「ああ、紺野さん。そう、彼女電話の応対が優しい。期限切れの申請も嫌みひとつ言われたことがない。前の人、きつかったからな」

「前の人……産休に入った野口さんか……」

「いや、よく沢田部長はあんなきつい人と結婚したよな。驚きだよ。俺なら絶対紺野さんを選ぶ」

「……選ばなくていい」

「は?」

「彼女は沢田さんの代わりに俺のアシスタントをしている。手を出すなよ。不器用なタイプだから心配だ」

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