その食べ方が好きなんです
「心配だから手を出すなって、まだ仕事以外の話もしたことないけど……いや、驚いた。女に興味がないかと思えば、お前がそんなこと言うとは……自分の部下には過保護なんだな」

 もう一度、紺野の方を見る。確かに俺を見ている。だが……他の女子社員が俺を遠巻きに見ている時とは違うような気がする。あ、目をまた反らした。これはもしや……。

「……叱りすぎたか……」

 呟いた時にはとなりの小林はもういなかった。

 * * *

 入社した時から不器用だが一生懸命だと沢田さんから聞いていた。パソコンの入力が苦手で、入力に時間がかかるうえ、間違いも多い。

 PCは慣れてくれば皆使えるようになる。彼女をアシスタントにしたのは、そういったマイナス面を補う人柄の良さがあったからだ。

 いつも相手を立てて、話を聞く。そういう姿勢は社会人として大切だ。皆が嫌がる仕事も率先してやっている。我慢強いんだろうと思った。

 アシスタントにして二か月。相変わらず、入力ミスが絶えない。毎日指摘しても、けろっとしているので周りも驚いていた。だが、これはもしかすると、俺に何か話したいことがあるのではないだろうか。

 その日から、俺は昼休みに彼女が自分をこっそり見ていることに気づいた。

 どうやら目を合わせるのを恐れていて、常に俺の目の下の方を見ている。これは早めに話を聞いた方がいいと思った。

 * * *

「紺野。俺に何か話したいことでもあるのか?」

 昼休みが終わった後、課長の前に立った。彼はじっと私を見つめた。

「……あ、えっと……」

< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop