苦手な同僚の色気たっぷりな鎖骨にメロついた結果
 彼は絵本をいくつか読んでくれて、神経が高ぶっていた私もようやく落ち着いてきた。
「もうちょっとで眠れそう」
 ふああ、とあくびをしながら私は言った。

「じゃあ、ある男の話。昔々ある男子大学生が就職試験に行きました」
「急に現実」

「大学生は途中でスーツが破れて困っていました。袖をひっかけて縫い目がびりっといっちゃったんだ」
「最悪。それで?」

 直後、雷の轟音。

「きゃああ!」
「大丈夫、大丈夫」

 優しい声がふってきて、私ははっとした。
 しまった、無意識に国広くんにしがみついちゃった。
「ごめん」

「このまま寝るまで抱いててやるよ」
「言い方!」
 私が言うと、彼は、ははっと笑う。

 私は私で、なんだか離れがたい。
 このゴールデンゾーンに触れられるのは、今の私の特権だ。どうせなら思い切り触っておこ。

 おでこを鎖骨にくっつけると、彼はくすっと笑って腕枕をしてくれる。
 頭を撫でられると、眠気がいっきに爆増した。ああ、なんでこんなに落ち着くんだろう。冷房の利いた部屋で、彼の体温が心地よい。

「おやすみ。今度は俺が……」
 むにゃむにゃする私の頭上から声が降ってきたけど、よく聞き取れないまま眠りに落ちた。
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