苦手な同僚の色気たっぷりな鎖骨にメロついた結果
「いいけど。意外だったから」

 鎖骨は聞かれなかったみたい。セーフ‼

「俺も行こっかな。雪町の水着が見たいし」

 私は心底から彼を冷たく見る。
 私以外の人には絶対にこういうこと言わない。

「セクハラ。そんなだと女にもてないよ」
「目当ての女以外にモテても仕方ないし。雪町はどうなんだよ」

「教えなーい」
 彼は毎度のように『彼氏できたか』と聞いてきてうんざりする。

「二十七歳にして彼氏なし更新中か」
「ほっといてよ。あなただっていないんでしょ」
「まあな」

 ぶーたれる私と違い、彼は嬉しそうに歩き去った。

「相変わらず仲よさそう……だけど、違うんだよね?」
「入社のときから妙にからまれて苦手」

 多くの人にはじゃれあってると誤解されて、私とは相性が悪すぎる。優衣には苦手なことを伝えてわかってもらえてるけど。

「もし彼が理想の鎖骨の持ち主だったら?」
「ないない!」

 私は半笑いで手をひらひらと振った。
 営業だからいっつもスーツで鎖骨なんて見たことないけど、そんなことありえないと思う。

「理想の鎖骨なんてどこにもないよ。もしいたら一発で惚れる自信ある」
「あいつの逆転ホームラン、見てみたい」
 優衣が笑って、私は軽く肩をすくめた。
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