苦手な同僚の色気たっぷりな鎖骨にメロついた結果
 私は慌てて呼吸しようとして水を飲んだ。両手で水をかくけど、うまく浮き上がれない。

 誰かが飛び込んだ。
 と思った直後に、私は抱きかかえられて水面に顔を出していた。と同時に激しく咳こむ。気管に水が入って苦しい。

「大丈夫か?」

 私は咳こみながら顔の水滴を拭い、声の主を見て驚いた。
 どうして国広くんが?

「ありが……」
 お礼は途中で咳こんで声にならない。

「無理するな」
 私は頷いて答える。

「咲良、ああよかった。ありがとう」
「ああ」
 優衣に答える彼の目は恥ずかしげに遠くを見ている。

「国広、急に走ってどうしたんだよ。って、なにかあった?」
 同じく同期の山川くんが駆け寄ってきた。

「咲良がプールに落ちちゃって。山川くんも来てたんだ?」
 優衣の問いに、彼は国広くんを見る。

「こいつがどうしてもっていうからさあ」
「お前ちょっと黙れ」

 焦ったような国広くん。
 山川くんは納得いかないように、だけど口とつぐむ。

「とりあえず上がるぞ」
 彼が階段に向かって歩き出して、ようやく私は自分が抱きかかえられていることに気が付いた。
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