苦手な同僚の色気たっぷりな鎖骨にメロついた結果
 シャワーから出た彼は夏用パジャマを着ていたが、第一ボタンをはずしているので鎖骨がチラ見えしている。

 ああ……。
 なんて悩ましいの。最高のアングル。左右のバランスもいい。チラ見えする鎖骨、万歳!

 このゴールデンラインの美が成立するには、胸鎖乳突筋とか僧帽筋とか胸筋とか、筋肉のバックアップも必要だ。そもそも骨格なんて天の配剤、神の気まぐれ。

「今日はうちに泊まるとして、この先どうする?」
 言われて、私は現実に引き戻された。

「どうしよう」
 母には友達の家に泊まるとメッセージで連絡した。もっと早く言いなさいと返信で怒られたけど、今日はこれで誤魔化せた。

 だけど、この先は?

 家には帰れないし仕事にも行けないし、友達にももう会えない。

「説明しても、誰にも信じてもらえないよね……」
「目の前で見てる俺でも信じられないからな」
 私はうつむいた。

 両親は私が事件にあったのかと心配するだろうし、警察は行方不明程度では動かないと聞くけれど、それでも警察に行くだろうし。

「いつまでもお世話になるわけにもいかないし……どうやって生きていけばいいんだろう」
 怖くて悲しくてうつむいたとき。

「俺がずっと一生養ってやる」
「え!?」

 私は驚いて彼を見上げる。と、いつになく優しく温かい瞳に迎えられた。

「シャワー浴びながら考えてた。こんな事情は誰にも言えないし、俺が雪町を育てる。会社は退職代行を使えばいいし、義務教育は終わってるし、なんとかなるだろ」

 私は唖然とした。
 彼にいきなり子供ができたら変に思われるのに。戸籍の問題だってある。
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