イケメン医師は、私を骨から溺愛する
「あれ、渚さん」

 声をかけられてそちらを見ると、さきほどのイケメン医師だ。名前はなんだっけ……と名札を見る。忽那と書いてこつなさん。なにげに読みにくいな。こつなさん。

「さっそくチケット使ってくださったんですか」
「病院なんてなんどもこないですから」
「そのほうがいいですね」

 彼は苦笑し、私の向かいに座った。同席していいなんて言ってないけど、まあいいか。コーヒー飲んで帰るだけだし。

「忽那さんは骨が好きなんですか?」
 尋ねると、彼はコーヒーを飲みそこなったらしくて激しく咳込んだ。

「……けほっ。どうして私が骨好きだとわかったんですか?」
「さっき、すごく熱く語っていたので」

「いやあ、お恥ずかしい」
 彼は照れて自身のおでこをなんども撫でた。

「人間、ひんむいてしまえば、みんな骨です。だからこそ真の美しさが宿るわけですよ」

 あ、やばい人だ。
 そう思ったけど、まだコーヒーが残っている。

「ルッキズムなんてほんと無駄ですよ。最後は骨になりますし、その骨すらも放っておけば風化して消えるわけですからね」
「そうですね」

 右から左へ聞き流し、残念イケメンの称号をこっそりと授与しておこう、と心に決める。

「骨と言えば」
 私はスマホを彼に見せた。
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