イケメン医師は、私を骨から溺愛する
「あれえ、忽那先生じゃないですかあ」
 きゅるん、とした声にそちらを見ると、白衣の美女がいた。茶色のショートヘアに、きらきらピアス。医療職で大丈夫なのかな、と思うけど彼女にはよく似合っている。

 ちらりと名札を見ると、『冴島琴香(さえじま ことか)』と書いてある。美人によく似合う名前だ。

「こちらはどなた?」

 にこやかな瞳の奥には、ひそやかな敵意。ライバル認定されたかもしれない。
 さっきまでにこにこしていた忽那さんは「すん」となってしまって、無表情だ。
 おもしろっ。

「骨のモデルをしてくださる方です。今度の論文で骨の画像を使わせていただくんです」
「へええ」

 彼女は面白くなさそうに私を睥睨(へいげい)し、私はわくわくしてしまった。
 くるかな、悪口。きたらどう言い返そうかな。

「患者さんとお茶なんてよくないんじゃないんですか?」
 彼女はにっこりと妖艶に笑う。

 おおっと、悪口は来なかった。ちょっと寂しいな。

 男ならほれぼれする笑顔を見たあと忽那さんを見ると、こちらは無表情にコーヒーを口にしている。
 あ、無視する系? 返事くらいはしてあげたらいいのに。

「私は帰りますので、どうぞ」
 コップを手に立ち上がると、忽那さんの顔が絶望に染まった。

「俺ももう飲み終わったんで」
 立ち上がった彼は手を滑らせてスマホを落とし、がつん、と音がした。
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