イケメン医師は、私を骨から溺愛する
「うあ!」
「あら」

 美女がひょいとかがんで拾い上げる。
 なんていうか、拾い方も美女だ。足をそろえて膝を折って拾ってる。美意識たかっ。

「ごめんなさい。画面が見えてしまったわ。先生の好きそうな展示会ね。よろしければ一緒に――」
「彼女と行きますので」
 すべてを言わせず、忽那先生が言う。

「彼女? この幼児体型が?」
 おおっと、ここで悪口を挟んできたっ。でもまだ言い返すほどじゃないかな。

「恋人とこんなの行くなんて悪趣味なんじゃない?」
「あなたも行こうとしてましたよね?」

 私が反射的に聞き返すと、彼女はひくっと口の端をひきつらせた。コーヒーを載せたトレイを持つ手がわなわなと震えている。

「私、失礼します」
 ふん! と顔をそらして彼女はすたすたと歩いていく。

 私はちらりと忽那さんを見る。
「誤解されましたけど」

「すみません。三人称としての彼女で言ったんだけど、恋人の意味にとられちゃって」
 彼は申し訳なさそうにおでこを撫でる。

「めんどくさいから誤解させておけばいいですよ」

 ちらりと振り返ると、琴香さんはそのまま別の席に座り、なにごともなかったかのように背筋を伸ばしてコーヒーを飲んでいる。
うーん、絵になる美女だ。美女然としていて、好感が持てる。やっぱ美女はそうでなくちゃね。

 返却口に食器を返すと、そのまま彼がついてくる。
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