イケメン医師は、私を骨から溺愛する
「俺、ああいう人苦手なんだよね」
 崩れた口調に彼を見ると、とほほ、と後ろに字が浮かんでいそうなくらいにしおれている。

 ふうん。プライベートでは「俺」なんだ。

「俺ってイケメンじゃん?」
「あ、自分で言うんですね」

「周りから言われ続けると自覚せざるを得なくて。で、いろんな人が寄ってきて。子供のころは変質者に誘拐されかけ、告白されて断るとその子とその友達に『なんで断った』って責められ、男からは嫉妬され」

 マンガにありそうな不幸なタイプのイケメンあるあるだ。笑いそうになるのを、私は必死にこらえる。

「で、人間が苦手になって。そんなときに、骨格標本に出会ったんだよ」
「もしかして小学生の段階で人間不信に?」

「そうなんだ。だけど、人間の美醜なんて上っ面、中身は全部骨だと思ったらだいぶ気が楽になって」
「内臓はすっとばすんだ?」

「ええ、すっとばして骨。しかし骨も奥が深い。調べていくとやはり美しい骨もあったんですよ。個性的な骨、人生が見える骨。いろいろあって」

 医者は変人が多いとは聞くけれど、彼も相当に変だ。

「そうして、骨に接することのできる仕事がしたいと考えて、放射線科医になったんだ。放射線技師とも迷ったんだけどね。放射線科医なら基本的に患者との接触がなくていいので」
「へえ」

「次点で整形外科。司法解剖する医師も骨を見られるけど……やっぱり常に骨を見るなら放射線科医かな、と」

 しみじみと言う彼に、つい笑いそうになる。

「CTやMRIの読影とかもあって骨だけじゃないし、放射線科医も放射線診断医と放射線治療医にわかれるんだけどね」

 私には縁のない世界だ。
 ふと気になって、彼に聞いてみる。
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