一途な溺愛は、PM12:10に始まるらしい。
「それに別で割り箸を持ってきてくれて……何より、ベンチの端っこに座ってた」

今井さんの視線が私の顔から足元に映る。

「この公園はいつも誰もいないから、昨日も坂野さんはベンチの真ん中に座って景色を見ながらお弁当を食べていた。けど、今日はわざわざ俺の場所を空けて……しかも、俺の座ってる場所の方がそっちより綺麗だし」

確かに私は今井さんが来る前に、今井さんが座るであろう場所の汚れを払っておいた。

まさか気づくとは思わなかったけれど。

「前に坂野さんの会社と仕事した時も思ったんだ。正直坂野さんはあのコラボではメインで関わる部署ではなかったのに、誰よりも真剣に資料を読み込んできたことが分かる受け答えだった。だから名前を覚えていたんだ」

足元に向いていた今井さんの視線が、また私の顔に戻る。

今度はしっかりと目を合わせて。






「坂野さんってやっぱり凄く真面目な人だよね。ほんと興味惹かれる」





「え?」





「凄く真面目なくせに、失敗した卵焼きを食べたら大きな声で『まっっっっず!』って言うし、昨日だって一人で公園でお弁当食べながら『午後からの仕事嫌すぎる……』って独り言を言っていたり、思っている感情が案外顔に出るし」






今井さんが私のお弁当箱に入っている卵焼きを昨日と同じようにヒョイっと摘んで口に入れる。

自分の分の卵焼きをしっかりと食べ終わったくせに、彼は私のお弁当に入っている分まで食べたのだ。
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