一途な溺愛は、PM12:10に始まるらしい。
その状況を実感してしまって、後戻り出来ないような気持ちになってしまう。
「だってまず私の失敗した卵焼きを食べても最後まで不味いとは言わないし、でも成功した卵焼きは食べたいって言ってくれるし、味の感想はしっかり伝えてくれるし、尚且つ褒めてくれる。仕事でもプライベートでも私の真面目なところに気づいてくれて、私の気遣いをちゃんと気づいてくれて、嬉しそうに笑ってくれる」
せめてここで言葉が止まって、と思うのに言いたくなかった言葉まで吐き出してしまう。
「今井さんがそれだけ相手のことをちゃんと見てくれることなんて誰も知らなくて良いのに……結局、私の会社の社員も最後には今井さんの魅力に気づいていたんですよ!?」
そこまで言えるくせに、「私はもっと最初の方に気づいていたのに……」とまでは言えないのだ。
いつだって案外上手くはいかないし、ちゃんとした言葉も紡げない。
だって、もし人生がちゃんと全部上手くなら私は一番初めに今井さんに失敗した卵焼きを食べさせていない。
初めから一番成功した卵焼きを食べさせられていたはずだ。
でも、結局失敗した卵焼きを食べさせたからこそ、私は今こうして彼の隣に座っているのだ。
「坂野さん」
名前を呼ばれてもすぐに振り向けない。
今井さんの顔を見れない。
「だってまず私の失敗した卵焼きを食べても最後まで不味いとは言わないし、でも成功した卵焼きは食べたいって言ってくれるし、味の感想はしっかり伝えてくれるし、尚且つ褒めてくれる。仕事でもプライベートでも私の真面目なところに気づいてくれて、私の気遣いをちゃんと気づいてくれて、嬉しそうに笑ってくれる」
せめてここで言葉が止まって、と思うのに言いたくなかった言葉まで吐き出してしまう。
「今井さんがそれだけ相手のことをちゃんと見てくれることなんて誰も知らなくて良いのに……結局、私の会社の社員も最後には今井さんの魅力に気づいていたんですよ!?」
そこまで言えるくせに、「私はもっと最初の方に気づいていたのに……」とまでは言えないのだ。
いつだって案外上手くはいかないし、ちゃんとした言葉も紡げない。
だって、もし人生がちゃんと全部上手くなら私は一番初めに今井さんに失敗した卵焼きを食べさせていない。
初めから一番成功した卵焼きを食べさせられていたはずだ。
でも、結局失敗した卵焼きを食べさせたからこそ、私は今こうして彼の隣に座っているのだ。
「坂野さん」
名前を呼ばれてもすぐに振り向けない。
今井さんの顔を見れない。