Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
 私はユキトに教えて貰った場所に向かう。そこは関係者以外立ち入り禁止と書かれて居る扉だった。

「君! ここは立ち入り禁止だよ」

「あの……Happinessのボーカル、ユキトさんに頼まれて来たんですけど……」

「貴方のお名前は?」

「鈴華です」

「あー……はいはい、聞いているよ、入って。ドアにバンド名の紙が貼っているから」

 未知の扉に足を踏み入れた。長い通路があり、扉も複数個あって一つずつ確認して足を運ぶ。一番奥の部屋にHappinessと書かれた紙が貼ってあった。

 扉を軽くノックしても反応がない。立ち止まっていると、通路に居たスタッフが開けて入って良いですよと教えてくれて、そっとドアを開けた。

 扉を開けた先には壁がある。右側を見ると短い通路があって、突き当たりの左側から電気の光が見える。通りでノックしても気が付かない訳だ。

 ドアを閉めて通路を見ると、185センチくらいの高身長の人が、目の前に立ち尽くしている。不思議そうな顔をして近づき声をかける。

「どうしたの? 迷子の子猫さん」

「いや……あの。んっ」
 驚きと格好良さに下を向く。最初は緊張で気が付かなかったけど、ギターを鳴り響かせてた人だと気付いた! 頭の中で必死に整理をしている最中。彼はいきなり私の顎先を指でゆっくりと上に向けると、見下ろしている彼の目が合った。

 胸の鼓動がドキドキと体全身に響き、彼の透き通る瞳に目が離せなく無言のまま見つめ合う。まつげが長くスタイルはモデルみたいで、誘惑するような花の香りが鼓動を更に早くした。彼の美しさはまるでバラのようで一度でも好きになったら、抜けないトゲのように心が支配されると思った。

 このままじゃダメ! 私は視線を右に落としながら首の向きを変えると、彼は指で顔を正面に戻し「もっと可愛い姿見せて?」そう耳に甘い声で囁く。恥ずかしさで体全身に熱を感じて、私の瞳は甘くとろけていた。

「おい! 俺の知り合いに向かって何やってんだよ。アツシ! 嫌がってるだろ」
 ユキトは私が入ってきた扉から来て、アツシの手を振り払った。

「嫌がっているようには……見えなかったけどね」笑顔をユキトに向ける。

 こんな姿をユキトに見られて、なぜか心が痛くなった。私は下を向いて黙り込んでいると、アツシは手のひらを上に向けて、両手を広げながら「なーんだ……残念」と立ち去っていった。
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