Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス

第4話  チハルの過去/バンド結成

 付いた先は大きな病院で、緊張した面持ちで受付まで足を進める。
「すみません。この紙に書いてある病室に、チハルさんが来ていませんか?」
「お名前は?」
「鈴華です」
「確認しますのでしばらくお待ちください」

 5分経った頃に、病室の案内を説明されて部屋に向かう。
 扉の前に着いて、深呼吸をしてからノックをする。

「鈴華です」

 個室の扉を開けたのは、チハルだった。
「どうしたの? ここまで来て」
「会議なのに来てないから、皆心配しているよ」
「え!? 今日練習じゃなかったの?」
「スマホにアツシから連絡あったの気が付かなかった?」
「充電が切れていて、気が付かなかったよ。アツシに電話したいから、スマホ貸してくれない? ちょっと出るけど、椅子に座って待てて」

 最初はチハルに何かあったのかと思い、病院に駆け込んだが違った。目の前のベッドには、綺麗な女性が眠っている。近くのテーブルには花が飾ってあり手紙が添えてある。手紙をよく見ると、桜菜(さな)へと書かれていた。どこかで聞いたことのある名前……。

 あれはHappinessに初めてお弁当を届けた日だった気がする。美味しくご飯を食べている最中に、マサトが悲しそうな面持ちで「前は桜菜が家に来て料理してくれたからなぁ……また食べたいなぁ」と呟いていた事を思い出す。

 もしかして目の前に居る人が、あの時話した桜菜さんなのではないか? そんな疑問が頭によぎる中、チハルは戻ってきた。

「待たせてごめんね。アツシに話したら、決めとくから来なくいいって、優しく言われたよ」
「そっか……良かったね」
「鈴華さん。やっぱり気になるよね?」
「うん……ごめんね。話したくなかったらいいよ。でも知りたい」
「分かった。でも少し長くなるけど、良いかな? じゃ座って。どこから話せば良いのかなぁ。」

 考え込みながら、桜菜さんの方を愛おしそうに見つめながら話し始める。
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