Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
***【チハル視点】
僕と桜菜は中学生まで同じ学校で、ずっと一緒にいるくらい仲が良かった。桜菜はいつも笑顔で、そばにいるだけで幸せな気持ちになれる。僕はいつも背中を押されていた。
そんな当たり前が続くと思っていた。3年生に進級して、桜菜と目指している高校が違うことを初めて知る。もう会えないの? そう考える日が増えると次第に寂しくなって、離れたくない気持ちが強くなった。
桜菜も同じ気持ちで、僕達は友人から、だんだんと恋心に変わってゆく。中学3年生の冬に告白をして付き合うことになった。
高校は電車の駅が数本離れた場所で、桜菜は僕の通っている駅に降り、いつも待っていてくれて一緒に帰る。そんな高校生活を過ごしていたときに、今まで趣味が出来たことのない自分が、初めてバンドに憧れた。
当時はジャズシンガーの歌姫がデビューして、国内でジャズが大ブームになっているとき、僕はライブハウスに迷い込んでいた。初めて見たロックのライブに胸が踊り、心臓に響く演奏は心を打ち抜いて、ロックに染まっていった。
お金を貯めて、そのライブで一番輝いて映ったベースを買う。毎日家で、桜菜の前で練習して響き鳴らしていた――今思えばずっと近くで応援してくれたから、続けてこられたと思う。
二人で調べて半年でそれなりに弾けるようになる――この時凄く嬉しくて、お互いに涙を流して喜んだ。
そんな楽しい日々を過ごしているときに、人生の分岐点が訪れる。
高校1年の冬。転校生が来て校内の女子が大騒ぎしていた。そいつは同じクラスで、誰が見てもイケメンだった。興味がなく眺めていると一言で一変する。
「はじめまして、アツシって呼んでください。趣味はロックです」
驚いた。クラス皆がジャズの話題で持ちきりなのに、好きな事を堂々と宣言して、なおかつ好みが同じで好奇心がわいた。
帰り支度をしている放課後の教室で話しかける。
「アツシくん。千春です。よかったら少し話さない?」
「アツシでいいよ。俺もチハルって呼ぶから。で、女子にモテモテのチハル君は、なにかよう?」
「いや……中学から彼女いて、他の女子に興味はないし。あっ! そんなことを言いに来たんじゃなくて! 僕もロックが好きなんだ!」
ずっと余裕そうな顔をしているアツシからは、想像も出来ない顔をして、少しすると真剣な顔つきに変わった。
「チハルは楽器とかやってる?」
「あっ……うん。ベースをやっているよ。まだ日は浅いけど」
「俺らとバンド組まない? 俺がベース教えるから」
「俺ら……?」
「もうすでに、ドラムとボーカルは決まっているんだ。最後のピースはチハルだよ! 今日の放課後空いているかな?」
「……ごめん。いつも彼女と約束しているから」
「彼女さんが良ければ一緒で良いよ」
桜菜に連絡を入れると、念願のバンドに凄く喜んでくれて一緒に行くことになった。
僕と桜菜は中学生まで同じ学校で、ずっと一緒にいるくらい仲が良かった。桜菜はいつも笑顔で、そばにいるだけで幸せな気持ちになれる。僕はいつも背中を押されていた。
そんな当たり前が続くと思っていた。3年生に進級して、桜菜と目指している高校が違うことを初めて知る。もう会えないの? そう考える日が増えると次第に寂しくなって、離れたくない気持ちが強くなった。
桜菜も同じ気持ちで、僕達は友人から、だんだんと恋心に変わってゆく。中学3年生の冬に告白をして付き合うことになった。
高校は電車の駅が数本離れた場所で、桜菜は僕の通っている駅に降り、いつも待っていてくれて一緒に帰る。そんな高校生活を過ごしていたときに、今まで趣味が出来たことのない自分が、初めてバンドに憧れた。
当時はジャズシンガーの歌姫がデビューして、国内でジャズが大ブームになっているとき、僕はライブハウスに迷い込んでいた。初めて見たロックのライブに胸が踊り、心臓に響く演奏は心を打ち抜いて、ロックに染まっていった。
お金を貯めて、そのライブで一番輝いて映ったベースを買う。毎日家で、桜菜の前で練習して響き鳴らしていた――今思えばずっと近くで応援してくれたから、続けてこられたと思う。
二人で調べて半年でそれなりに弾けるようになる――この時凄く嬉しくて、お互いに涙を流して喜んだ。
そんな楽しい日々を過ごしているときに、人生の分岐点が訪れる。
高校1年の冬。転校生が来て校内の女子が大騒ぎしていた。そいつは同じクラスで、誰が見てもイケメンだった。興味がなく眺めていると一言で一変する。
「はじめまして、アツシって呼んでください。趣味はロックです」
驚いた。クラス皆がジャズの話題で持ちきりなのに、好きな事を堂々と宣言して、なおかつ好みが同じで好奇心がわいた。
帰り支度をしている放課後の教室で話しかける。
「アツシくん。千春です。よかったら少し話さない?」
「アツシでいいよ。俺もチハルって呼ぶから。で、女子にモテモテのチハル君は、なにかよう?」
「いや……中学から彼女いて、他の女子に興味はないし。あっ! そんなことを言いに来たんじゃなくて! 僕もロックが好きなんだ!」
ずっと余裕そうな顔をしているアツシからは、想像も出来ない顔をして、少しすると真剣な顔つきに変わった。
「チハルは楽器とかやってる?」
「あっ……うん。ベースをやっているよ。まだ日は浅いけど」
「俺らとバンド組まない? 俺がベース教えるから」
「俺ら……?」
「もうすでに、ドラムとボーカルは決まっているんだ。最後のピースはチハルだよ! 今日の放課後空いているかな?」
「……ごめん。いつも彼女と約束しているから」
「彼女さんが良ければ一緒で良いよ」
桜菜に連絡を入れると、念願のバンドに凄く喜んでくれて一緒に行くことになった。