Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
第5話 チハルの過去/嬉しさと辛さは天秤
***【チハル視点】
高校二年生の7月。
それぞれ好みの服を身にまとい、人生初めてのステージに立つ。
観客の見上げる目線や、熱いライトの光に照らされて、あれだけ引き鳴らした指先は緊張の震えで頼りない。仲間を見渡しても、慣れた手つきで準備を始めて更に緊張が強くなる。不安な気持ちでベースの手元を何度も確認しているとき、何かを感じてふと客席を見上げた。
そこは自分を一番よく見渡せる特等席で、祈っている彼女の姿が目に入る。その瞬間、緊張の糸が切れて笑顔に変わった。
誰にも聞こえない小さい声で呟く「なに祈りなんかしてるんだよ。桜菜……顔を見上げてごらん。ここから始めるんだよ、夢に向かって」
感謝の気持ちを込めて、ベースを鳴り響かせる。桜菜は顔を上げると、安心した笑顔で、涙をいっぱいこぼしながら、ひたすらに見つめていた。
客席から歓声が響き、熱気を増す。
憧れることしか出来なかったこの場所に、今立って奏でている。ライブの気持ちよさに、感極まり言葉が漏れる「この場所でもっと引いていたいなぁ……」
高校二年生の7月。
それぞれ好みの服を身にまとい、人生初めてのステージに立つ。
観客の見上げる目線や、熱いライトの光に照らされて、あれだけ引き鳴らした指先は緊張の震えで頼りない。仲間を見渡しても、慣れた手つきで準備を始めて更に緊張が強くなる。不安な気持ちでベースの手元を何度も確認しているとき、何かを感じてふと客席を見上げた。
そこは自分を一番よく見渡せる特等席で、祈っている彼女の姿が目に入る。その瞬間、緊張の糸が切れて笑顔に変わった。
誰にも聞こえない小さい声で呟く「なに祈りなんかしてるんだよ。桜菜……顔を見上げてごらん。ここから始めるんだよ、夢に向かって」
感謝の気持ちを込めて、ベースを鳴り響かせる。桜菜は顔を上げると、安心した笑顔で、涙をいっぱいこぼしながら、ひたすらに見つめていた。
客席から歓声が響き、熱気を増す。
憧れることしか出来なかったこの場所に、今立って奏でている。ライブの気持ちよさに、感極まり言葉が漏れる「この場所でもっと引いていたいなぁ……」