Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
 あれだけ作った料理が少なくなってきた頃。
 アツシに近くのコンビニで、飲み物を買ってきて欲しいと頼まれて玄関を出ると「夜道は一人じゃ危ないから一緒に行くよ」とユキトに声をかけれ一緒に買い出しに向う。

 12月の寒さが風にのって肌にあたり体が冷える。
「フゥー……寒いね。もっと服を着込んで出れば良かったよ」
「夜は更に冷えるから寒いよね」

 綺麗な星空を眺めながら呟く「鈴華さんと出会えて本当に良かったよ」
「いきなりどうしたの?」ニヤニヤにしながら覗き込むと、真剣なまなざしをしていた。
「あの日出会えなかったら、こんなにも楽しい日常は訪れなかったと思う」

 その言葉を聞いて「私のセリフだよ」と言葉が漏れる。
 挫折ばかり繰り返して生活してた私は、消えたいと思い始めていた。そんな時ステージでライブを見て感動し、もう一度歩いてみようと強く思えた。偶然ユキトに出会い今はHappinessの一員だ。

「私は今凄いー幸せ!! だから皆の夢を叶えたい。もっと! 幸せになりたい」
「必ず有名になるよ。その時は……」首を横に振りながら「何でもない」と言った。

 私達は綺麗な星空を眺めながら帰宅した。


「ただいま」
 玄関を開けると部屋の中は真っ暗で、驚き立ち止まる。ユキトが微笑みながら背中を押すと、部屋に1本の明かりを見つけた。そっと近づくと「パッン!!」と目の前でクラッカーが鳴り響いた。

「鈴華さん。誕生日おめでとう!」
 歓迎の拍手をして何度も祝う。

 驚きのあまり呆然と立ち尽くしていると、ユキトが説明し始める。
「企画したのはアツシなんだ。書類に書いてあった生年月日を覚えていて、だから今日を歓迎会の日にしたんだ」

「皆……ありがとう」
 私はケーキのロウソクにゆっくりと近づき「ふぅー」と息を吹きかけ消した。
 電気が付くと、買い出しに行くときにはなかった、華やかな飾りが部屋中についていた。その美し光景に涙があふれる。

「これ皆からのプレゼント」

 ユキトから、飾り付けられた封筒をもらい、中を開けると一枚のチケットの形になっている紙が入っていた。表にはHappinessの文字とメンバー7人の名前が書いてある。裏を見るとそこには、夢のチケットと書いてあった。

「これは将来必ずHappinessが行く、ドームの一番良く見える席のチケットだよ。いつか必ず連れて行くからね」
「うん! ありがとう」

 最高のプレゼントだ。微笑んでいる皆に感謝を伝えてからケーキを頂くことにした。

「いただきます」
 あむっと口いっぱいに頬ばる。甘くとろけるクリームに、ふわふわのスポンジ、甘酸っぱいイチゴが、口の中に広がり幸せいっぱいだ。

「おいしい。みんなありがとう」
「鈴華ちゃん。このケーキ実はアツシが作ったんだぜ」
「え? アツシ凄いじゃん! ありがとう」
「主役のお姫様に喜んで頂けて光栄です。なんちゃって」と皆で笑った。

 ケーキを皆で食べているときにユキトが話す。
「来年から忙しくなるから、今年が終わるまで体調が良いとき鈴華さんの手料理食べたいよ」
「それは良いね」
「俺も賛成―。毎日作るの大変だし」
「アツシはいつもどっか行くじゃん」

 皆に求められるのが嬉しくて、体調が良いときはここでご飯を作ることになった。夜も遅くなりお開きになると、私と松村さんはアツシの車で送ってもらい帰宅した。
< 28 / 32 >

この作品をシェア

pagetop