Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス

第二章 デビュー準備  第8話 合宿

 ***【ユキト視点】

 鈴華さんと別れた後、家に帰宅して合宿の移動について一人で確認することにした。

 今回の合宿では、2つのグループに分かれて移動する。
 1つ目は車で荷物を運ぶグループで、アツシと松村さんの二台の車両で向かう。
 僕がいる2つ目のグループは、チハルとマサト、そして松村さんの奥さんの4人で目的地を目指す。

 松村さんの奥さんとはまだ直接会った事はなく、以前通話でお話した程度で、見た目は分からないがとても優しい人で会うのをメンバー皆楽しみにしている。


 外が少し明るくなった頃、アツシの車に荷物を詰めて見送る時間になった。
「じゃ、先に行ってくるよ」
「アツシ気を付けろよ」
「心配すんなよ、マサト! それより今も眠っているチハルが心配だ。松村さんの奥さんには迷惑掛けないように頼んだ」

 僕とマサトで出発を見送り、それからしばらく時間が経つと、待ち合わせの駅に歩いて移動を始めた。マサトは眠たい顔をしたチハルを頑張って連れて行き、待ち時間ギリギリに到着する。

 松村さんの奥さんは僕達に気が付くと近づき、先に3人で挨拶をした。

「あらぁ、朝から元気ね。おはようございます! 直接会ったのは初めてですわね。松村(まつむら) (ひかり)です」

 想像とは違い、身長が160センチぐらいで、52歳とは思えないほど若々しかった。

 話している時間もなく、僕達は予約している電車に急いで乗り込む。チハルは椅子に座ると即座に眠りに付いてしまい、マサトが謝ると「いいのよ」と光さんは微笑んだ。電車が動き始め走り出すと窓越しに見える景色は、徐々に緑が増えていき、チハルが目を覚ました頃には目的地に到着した。

「皆ここで降りるわよ」
「わーい! やっと着いた!!」

 チハルはウキウキしていたが、バスに乗ることを知るとテンションが下がっる。バスが到着し、空いてたので並んで座た。

 チハルは寝ていただけなのに「……また乗り物」と呟く。
「疲れちゃうよね。これでも舐めて」

 光さんは、一人一人に飴を手渡した。
 袋を開けて口に入れる。……美味しい! この味はメロン味だ。まろやかな甘みが口に広がると、疲れが徐々に減っていく気がする。飴がなくなる頃に目的地に止まった。

 近くの駐車場まで歩いて松村さんを見つける。新年の挨拶を一人一人した後、車に乗り込んだ。そこから数十分坂道を走らせてやっと合宿所に到着した。

 車から降りると、周りは木々に囲まれていて、体育館のような外見をした建物が目に入る。松村さんがアツシの車から自分の持ち物を持って、建物に入るようにと言われて荷物を持った。

 玄関を超えた先には長い一本の廊下が目に入り、左右を見渡すといくつも扉があった。アツシの姿が見えて部屋を案内される。

 ここはしばらく生活で使うための個室で、辺りを見渡すと机や棚、マットレスの入っていない木製のベッドフレームのような物があった。

 荷物を置き終えると松村さんに呼び出される。
 どうやらこの施設を案内してくれるみたいで、皆で後ろをついて行った。

 一階は生活エリアで、各自の部屋と調理場、食事スペースや洗濯が出来る場所などがあった。二階は音楽に必要な様々な部屋が用意されている。

 エリアを見終えると食事スペースへ集まり、ここでの生活を松村さんが話す。
「施設は元務めていた事務所に借りて、使わせてもらっているから、掃除や食事などは全てHappinessがやらなければならない。家事は妻と私がやるから、君たちは合宿中音楽に励んで欲しい」

 軽い昼食を食べ終えると、二階のステージがある部屋で曲を通しで練習し始めた。

 複数回していると、太陽は隠れてしまい今日の練習は終わる。
 一階でシャワーを浴びた後、食堂に行き光さんの作ったご飯を食べると、マットレスと布団のカーバを渡された。部屋に戻り、木製のベッドフレームにマットレスをはめ込んで布団カバーを装着したあと、明日は講師が来るため早い眠りに付く。
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