Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス

第10話 Secret Happiness

 2月が始まり、Happinessは個別練習とデビュー曲作りに取りかかり始めた。この期間、毎日のようにメンバーの家に行き、サポートをすることになった。

 サポートと言っても、私は楽譜も読めないくらい音楽に才がない。なので、皆が集中出来るように家事を専念することにした。

 最近の学校がない一日はこんな感じだ。
 9時ぐらいにメンバーの家に入り、飲み物を用意する。松村さんが10時ぐらいに車で迎えに来るので、練習に行くメンバーの支度を手伝う。それが終わると、残っているメンバーに頼まれたことをこなして、お昼時に食事を作る。

 13時ぐらいになると練習に向かったメンバーが帰宅するので、皆で昼食を食べる。この後の時間は、各自の部屋で練習をしたり自由な時間を過ごす。15時になると歌詞の会議が始まって、松村さんも毎回参加をして全員で練り上げる。

 19時に夕食が作り終えて食べ終わると、朝食を作ってから洗い物をして帰る。それが最近の日常だ。私は今日も洗い物を終えて、身支度を済ますとアツシが近づいた。

「送っていくよ。お嬢さん」
 クスッと笑いながら「なによ、その言い方。いつもありがとう」そう言って玄関を二人で出た。

 私は黒い車の助手席に座り、シートベルトを付ける。

「走らせるね」

 優しい声で確認すると車は動き始めた。
 アツシは疲れていても、必ず家まで運転して送ってくれる。最近はこの時間が少し特別に感じて好きだ。小さい音量で鳴っている海外の曲と、アツシの優しく微笑みながら喋る時間が、何だか落ち着く。

「鈴華、今日もありがとね。いつもご飯美味しいから、少し太っちゃった気がするよ」
「そんな事ないと思うけどなぁ。いつも素敵だよ」
「アハハ。なら良かった」

 運転中。何度も赤信号で停止をした。横を向いてアツシを見ると、なんだか楽しそうな顔で信号を見ていた。それが少しおかしく見えて聞いて見る事に。

「赤信号好きなの? 何か楽しそうに見えて不思議なんだけど」
「……好きだよ、赤信号。少しでも隣に居られるからね」

 どこまで本気なのか分からない言葉に、私の鼓動は激しく鳴り響いた。冗談と受け止めて笑顔で返す。

「何言ってんの。そうやって他の子にも言ってるんでしょ?」
「どうだろうね」

 アツシはとぼけると、いつの間に家の前まで着いた。車から降りて感謝を伝えると、アツシは「おやすみ」と笑顔で伝えて、夜道を走って行った。

 私は家についても、しばらく胸の鼓動が収まらずに眠りに付いた。
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