Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
第11話 眠りの目覚め
***【チハル視点】
◇◇◇(鈴華さんの電話から2時間前。MV撮影にて)
「16時から続きの撮影をするから、それまでは休憩。お疲れ様」
松村さんの説明が終わると、光さんは一人一人に飲み物を手渡す。
「ありがとう。光さん」
「撮影までゆっくり休んでね」
昨日の朝早くから撮影を始めて、慣れないことで疲れが貯まり、皆ピークに達している。天気は撮影に適している為、このまま続けば真夜中には撮影が終わるみたいで、それが救いだ。
今回は、あのアツシですら疲れているみたいで、冷たいタオルをおでこに押し当てて上を向いたまま椅子に座りくつろいでいる。撮影現場では、アツシは細かいチェックを全てこなして、休む時間がほとんどないように見えていたので心配だ。
撮影が再開する20分前に、ヘアメイクの人が来た。
「チハルさん。休憩の所すみません! 少しお直しします」
「お願いします」
ヘアメイクが終わり、撮影が再開する。
指示に従い撮影を進めてゆく、最初は一個一個に時間が掛かったが、今はもう慣れたもんだ。何度か撮り終えると短い休憩が入る。
撮影場所で椅子に座り休んでいると電話が掛かった。確認すると鈴華さんからで、人が少ない場所に移動をしてから電話に出る。だが、一言も喋らない。不安になりながら話す。
「もしもし。……鈴華さん? どうしたの。少ししたら撮影の続が始まるから長くはお話出来ないけど」
「あの……ね。桜菜さんが」
「桜菜に何かあったの!?」
「……違うの。目を覚ました」
その一言で頭が真っ白になった。
今まで目が覚めなかったのに、いきなり起きたんだ。実感がわかず言葉が詰まる。だからこそ、確かめたい。そう思ったら「今行く」と一言告げて電話を切っていた。
走って現場を出ようとすると腕を捕まれる。振り返ると慌てた顔をしたアツシだった。
「おい! どこ行くんだよ」
「……帰る」
「1人のわがままで、皆を巻き込む気か? せめて理由ぐらい話せよ」
「……桜菜が目覚めた。鈴華さんから今電話が来て!!」
「……そっか。ちょっと待てろ」
アツシは予定表を見て確認をすると、苦い顔を浮かべる。それでもアツシは背中を叩いた。
「あとは俺が何とかするから、早く桜菜の所へ行ってこい」
その言葉の勢いのままに走り出し、一度ホテルへ戻ると最低限の荷物を持ち出して玄関を出た。目の前には、タクシーと松村さんがいた。
「アツシから話しは聞いたよ。私はまだやることがあるから、申し訳ないが一人でタクシーに乗って行ってくれ。駅までのお金は払っているから、この紙に書いてある電車に乗って、そこからはタクシーを呼んで病院まで行けば最速だよ。桜菜さんをよろしくね」
「迷惑掛けてごめんなさい」
「ほら。さぁ乗って!」
タクシーに乗って駅まで移動をすると、電車に乗った。紙に書いてあるとおりに乗り換えをして降りると、再度タクシーに乗って病院を目指す。
目的地まで着いて、お金を払い急いで降りた。
玄関の前で座って待っている鈴華さんが目に入る。立ち上がって近づいたが、一秒でも早く桜菜の所に行きたかったので、一言も話さないまま走って通り過ぎた。病室の扉を開けると、桜菜の両親が揃っていた。
気にせずに「……桜菜。……桜菜」と何度も呼んでゆっくりと近づく。顔が見えるまで近くに来ると、ゆっくりと桜菜の目が開いた。その姿を見て息を飲み立ち尽くす。
「チハル君。桜菜の手を握ってくれるかな。微かに手を動かすことは出来るみたいだから」
優しく手を両手で包み、話し掛ける。
「ずっと会いたかった。……いざ話すってなると頭が真っ白になるんだね」
表情は変わらないが、微かに握られる。その手には喜びを感じた。
最初は何を話せば良いか分からなかった。けど、話しているうちにずっと伝えたかった言葉が、涙と共にあふれる。
「大好きだよ」
嬉しそうに握ると、ゆっくり目を閉じた。反応がなくなり桜菜の母親に心配で聞く。
「起きたばかりで疲れているのよ。大丈夫」
1時間手を握って側に居ると、メンバーに報告するため病室を出た。
ロビーに向かうと鈴華さんが座って待っていた。すぐに駆け寄り謝罪をすると、微笑みながら伝える。
「目覚めて良かったね」
まだ現実じゃないかもと思って、信じられない自分がいた。でもその言葉を聞いて安堵する。
「色々ありがとう」
「私、桜菜さんの様子見てくるね」
鈴華さんと一度別れて電話を掛けた。
◇◇◇(鈴華さんの電話から2時間前。MV撮影にて)
「16時から続きの撮影をするから、それまでは休憩。お疲れ様」
松村さんの説明が終わると、光さんは一人一人に飲み物を手渡す。
「ありがとう。光さん」
「撮影までゆっくり休んでね」
昨日の朝早くから撮影を始めて、慣れないことで疲れが貯まり、皆ピークに達している。天気は撮影に適している為、このまま続けば真夜中には撮影が終わるみたいで、それが救いだ。
今回は、あのアツシですら疲れているみたいで、冷たいタオルをおでこに押し当てて上を向いたまま椅子に座りくつろいでいる。撮影現場では、アツシは細かいチェックを全てこなして、休む時間がほとんどないように見えていたので心配だ。
撮影が再開する20分前に、ヘアメイクの人が来た。
「チハルさん。休憩の所すみません! 少しお直しします」
「お願いします」
ヘアメイクが終わり、撮影が再開する。
指示に従い撮影を進めてゆく、最初は一個一個に時間が掛かったが、今はもう慣れたもんだ。何度か撮り終えると短い休憩が入る。
撮影場所で椅子に座り休んでいると電話が掛かった。確認すると鈴華さんからで、人が少ない場所に移動をしてから電話に出る。だが、一言も喋らない。不安になりながら話す。
「もしもし。……鈴華さん? どうしたの。少ししたら撮影の続が始まるから長くはお話出来ないけど」
「あの……ね。桜菜さんが」
「桜菜に何かあったの!?」
「……違うの。目を覚ました」
その一言で頭が真っ白になった。
今まで目が覚めなかったのに、いきなり起きたんだ。実感がわかず言葉が詰まる。だからこそ、確かめたい。そう思ったら「今行く」と一言告げて電話を切っていた。
走って現場を出ようとすると腕を捕まれる。振り返ると慌てた顔をしたアツシだった。
「おい! どこ行くんだよ」
「……帰る」
「1人のわがままで、皆を巻き込む気か? せめて理由ぐらい話せよ」
「……桜菜が目覚めた。鈴華さんから今電話が来て!!」
「……そっか。ちょっと待てろ」
アツシは予定表を見て確認をすると、苦い顔を浮かべる。それでもアツシは背中を叩いた。
「あとは俺が何とかするから、早く桜菜の所へ行ってこい」
その言葉の勢いのままに走り出し、一度ホテルへ戻ると最低限の荷物を持ち出して玄関を出た。目の前には、タクシーと松村さんがいた。
「アツシから話しは聞いたよ。私はまだやることがあるから、申し訳ないが一人でタクシーに乗って行ってくれ。駅までのお金は払っているから、この紙に書いてある電車に乗って、そこからはタクシーを呼んで病院まで行けば最速だよ。桜菜さんをよろしくね」
「迷惑掛けてごめんなさい」
「ほら。さぁ乗って!」
タクシーに乗って駅まで移動をすると、電車に乗った。紙に書いてあるとおりに乗り換えをして降りると、再度タクシーに乗って病院を目指す。
目的地まで着いて、お金を払い急いで降りた。
玄関の前で座って待っている鈴華さんが目に入る。立ち上がって近づいたが、一秒でも早く桜菜の所に行きたかったので、一言も話さないまま走って通り過ぎた。病室の扉を開けると、桜菜の両親が揃っていた。
気にせずに「……桜菜。……桜菜」と何度も呼んでゆっくりと近づく。顔が見えるまで近くに来ると、ゆっくりと桜菜の目が開いた。その姿を見て息を飲み立ち尽くす。
「チハル君。桜菜の手を握ってくれるかな。微かに手を動かすことは出来るみたいだから」
優しく手を両手で包み、話し掛ける。
「ずっと会いたかった。……いざ話すってなると頭が真っ白になるんだね」
表情は変わらないが、微かに握られる。その手には喜びを感じた。
最初は何を話せば良いか分からなかった。けど、話しているうちにずっと伝えたかった言葉が、涙と共にあふれる。
「大好きだよ」
嬉しそうに握ると、ゆっくり目を閉じた。反応がなくなり桜菜の母親に心配で聞く。
「起きたばかりで疲れているのよ。大丈夫」
1時間手を握って側に居ると、メンバーに報告するため病室を出た。
ロビーに向かうと鈴華さんが座って待っていた。すぐに駆け寄り謝罪をすると、微笑みながら伝える。
「目覚めて良かったね」
まだ現実じゃないかもと思って、信じられない自分がいた。でもその言葉を聞いて安堵する。
「色々ありがとう」
「私、桜菜さんの様子見てくるね」
鈴華さんと一度別れて電話を掛けた。