Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
第12話 Kiss
5月が始まると、Secret Happinessはデビュー前の最後の合宿に行ってしまった。
前回より日数が長く、帰ってくるのは6月25日の夕方だ。
最近は体力がしっかり付いて、もう心配がないぐらいだ。だけど、合宿期間が長いため、皆と話し合い今回も参加を見送った。
この期間に何か出来ないかと必死に考えた結果、複数の挑戦を挑むことを決めた。
1つ目はアルバイト。いきなり長期間働くとなると不安があるので、光さんの紹介で週に2度、お弁当屋さんで働いている。
2つ目は一人暮らし。今は松村さんの家から近いマンションに住んでいて、何かあったら何でも話してと言われている。
松村夫婦には感謝しても仕切れない。
◇◇◇
新生活が始まり2週間が経過した。
最初は不安があったが、充実している毎日を送れている。
今回の合宿は光さんも参加をしていない為。私の家に来て料理をしたり、互いの趣味を共有して過ごしたりした。だが、もう1人凄く仲良くなった人がいる、それは桜菜さんだ。光さんと病室に何度も通い3人で居る時間がもの凄く楽しい。全員の趣味が料理を作ることなので、話題がつきることなく楽しんでいる。
桜菜さんのリハビリも順調に進んでいる。
声量は、日が経つにつれて声が出るようになってきた。まだ長時間話す事は出来ないが、それでもいつも笑顔で楽しそうに話しを聞いている。
食事も体の回復と共に変更して、今はパンなども食べられるようになった。
◇◇◇
時間はあっという間に過ぎていき、6月に変わった。
今日はメンバーの家に行って掃除をする予定だ。
お昼時から掃除を始めて、気が付いた頃には外が暗くなっていた。その時、玄関の方からガチャっと音が響いた。恐る恐る玄関に近づいて確認すると、カギが回りドアが開く。
目の前に居たのは、合宿に居るはずのアツシだった。
お互いに驚いた表情で固また後「どうしたの?」と問いかけた。
「必要な資料が部屋にあってね。鈴華はどうして家に?」
「さっきまでお掃除をしていて」
「そうだったんだ。いつもありがとね」
部屋に入るとアツシは椅子に座ってくつろいだ。私はコップに水を注いで、アツシが座っているテーブルに置くと「ありがとう」と笑顔で感謝を告げられる。私も椅子に座り合宿の話しを聞くと、練習の苦労や夜の騒がしさを楽しく話してくれた。その時、ぽろっとアツシは言葉が漏れる。
「合宿のご飯も美味しいけど、鈴華の手料理が恋しいよ」
そんな風に求められたら嬉しくてしょうがない。近くのお店で買い物をしてくることを伝えると、アツシは「運転をするよ」と言ってくれたが、ゆっくりしていてと言い断りを入れた。
買い物を終えて帰るとすぐに料理を作り始めた。ご飯が出来上がり一緒に楽しく食べる。美味しいと言いながら食べてくれるのが嬉しくて作って良かったと思った。
食後は珈琲を出して、隣に座りながらここ一ヶ月の事を話した。バイトを始めたこと、一人暮らしをしていること、Secret Happinessに出会ったから頑張れたし支えられた。感謝をいっぱい伝えると、アツシは頭を撫でながら話し始める。
「俺達はきっかけになったかも知れない。でも、選択して前を歩いたのは、全部鈴華の力だよ。よく頑張ったね」
私は涙があふれながら、これまでの出来事が頭によぎる。
その後は出会いの話しをした。アツシと出会いは印象的で、将来忘れることは出来ないだろう。私はからかいながら話すと「勘弁してくれ」と頭を抱えて苦笑いをしていた。
楽しい話しをしていると、あっという間に時間が経ち、珈琲もお互いに飲み終えていた。私は「そろそろ」帰るねと伝えて立ち上がると、腕を引っ張ってキスをされた。
突然の出来事で時間が止まるみたいに感じる。唇が離れるとお互い無言で見つめあった。言葉に出来ない胸の鼓動が鳴り響き、このまま連れて行かれそうに感じる。どうなっちゃうんだろと心に止めて、笑顔を作りながら「他の子にはしちゃダメだよ。本気にしちゃうし良くないよ」と伝えた。
一瞬……悲しげな顔に変わると、アツシは笑いながらごまかした。
私はそのまま玄関まで行き、別れを告げて家を出た。
緊張の糸が切れて、恥ずかしさで足が崩れ倒れ込む。唇を手でなぞりながら、人生初めてのキスを思い浮かべて、心が少し暖かかった。
前回より日数が長く、帰ってくるのは6月25日の夕方だ。
最近は体力がしっかり付いて、もう心配がないぐらいだ。だけど、合宿期間が長いため、皆と話し合い今回も参加を見送った。
この期間に何か出来ないかと必死に考えた結果、複数の挑戦を挑むことを決めた。
1つ目はアルバイト。いきなり長期間働くとなると不安があるので、光さんの紹介で週に2度、お弁当屋さんで働いている。
2つ目は一人暮らし。今は松村さんの家から近いマンションに住んでいて、何かあったら何でも話してと言われている。
松村夫婦には感謝しても仕切れない。
◇◇◇
新生活が始まり2週間が経過した。
最初は不安があったが、充実している毎日を送れている。
今回の合宿は光さんも参加をしていない為。私の家に来て料理をしたり、互いの趣味を共有して過ごしたりした。だが、もう1人凄く仲良くなった人がいる、それは桜菜さんだ。光さんと病室に何度も通い3人で居る時間がもの凄く楽しい。全員の趣味が料理を作ることなので、話題がつきることなく楽しんでいる。
桜菜さんのリハビリも順調に進んでいる。
声量は、日が経つにつれて声が出るようになってきた。まだ長時間話す事は出来ないが、それでもいつも笑顔で楽しそうに話しを聞いている。
食事も体の回復と共に変更して、今はパンなども食べられるようになった。
◇◇◇
時間はあっという間に過ぎていき、6月に変わった。
今日はメンバーの家に行って掃除をする予定だ。
お昼時から掃除を始めて、気が付いた頃には外が暗くなっていた。その時、玄関の方からガチャっと音が響いた。恐る恐る玄関に近づいて確認すると、カギが回りドアが開く。
目の前に居たのは、合宿に居るはずのアツシだった。
お互いに驚いた表情で固また後「どうしたの?」と問いかけた。
「必要な資料が部屋にあってね。鈴華はどうして家に?」
「さっきまでお掃除をしていて」
「そうだったんだ。いつもありがとね」
部屋に入るとアツシは椅子に座ってくつろいだ。私はコップに水を注いで、アツシが座っているテーブルに置くと「ありがとう」と笑顔で感謝を告げられる。私も椅子に座り合宿の話しを聞くと、練習の苦労や夜の騒がしさを楽しく話してくれた。その時、ぽろっとアツシは言葉が漏れる。
「合宿のご飯も美味しいけど、鈴華の手料理が恋しいよ」
そんな風に求められたら嬉しくてしょうがない。近くのお店で買い物をしてくることを伝えると、アツシは「運転をするよ」と言ってくれたが、ゆっくりしていてと言い断りを入れた。
買い物を終えて帰るとすぐに料理を作り始めた。ご飯が出来上がり一緒に楽しく食べる。美味しいと言いながら食べてくれるのが嬉しくて作って良かったと思った。
食後は珈琲を出して、隣に座りながらここ一ヶ月の事を話した。バイトを始めたこと、一人暮らしをしていること、Secret Happinessに出会ったから頑張れたし支えられた。感謝をいっぱい伝えると、アツシは頭を撫でながら話し始める。
「俺達はきっかけになったかも知れない。でも、選択して前を歩いたのは、全部鈴華の力だよ。よく頑張ったね」
私は涙があふれながら、これまでの出来事が頭によぎる。
その後は出会いの話しをした。アツシと出会いは印象的で、将来忘れることは出来ないだろう。私はからかいながら話すと「勘弁してくれ」と頭を抱えて苦笑いをしていた。
楽しい話しをしていると、あっという間に時間が経ち、珈琲もお互いに飲み終えていた。私は「そろそろ」帰るねと伝えて立ち上がると、腕を引っ張ってキスをされた。
突然の出来事で時間が止まるみたいに感じる。唇が離れるとお互い無言で見つめあった。言葉に出来ない胸の鼓動が鳴り響き、このまま連れて行かれそうに感じる。どうなっちゃうんだろと心に止めて、笑顔を作りながら「他の子にはしちゃダメだよ。本気にしちゃうし良くないよ」と伝えた。
一瞬……悲しげな顔に変わると、アツシは笑いながらごまかした。
私はそのまま玄関まで行き、別れを告げて家を出た。
緊張の糸が切れて、恥ずかしさで足が崩れ倒れ込む。唇を手でなぞりながら、人生初めてのキスを思い浮かべて、心が少し暖かかった。