Secret Happiness Kiss/シークレットハピネスキス
「去年の12月。Secret Happinessのスカウトを終えて家に帰宅した。茂(しげる)ちゃんは……あっ、茂さんはすぐに自分の部屋に行ってパソコンをカタカタと入力してたわね。その夜、食事中にスカウトの話しを聞いたのよ。そしたらダメだったって話す割には、目を輝かせて楽しそうだった。そこから1週間は色々な場所に電話したり、出かけてたわ。そして再度スカウトに行った帰りは、凄く満足した顔で『これから忙しくなるぞ、光』ってはしゃいでいたわね」

 私の松村さんの印象は、しっかりしていて、周りが見えて頼りになる大人だった。だからこそ、可愛いところを知って少し驚いたけど好感を持てた。

 少しの笑いの後、光さんは合宿の出来事について話し始める。

「可愛いのは茂さんだけじゃないのよ。合宿の出来事なんだけど、チハルは美味しそうにご飯を食べていたんだけど、少し目を離した隙に寝ながら幸せそうに食べていたわ」
「もう……チハルったら。それ昔からなんです。疲れているときにご飯を食べると両方我慢できなくて、何度も注意してるんですけど……恥ずかしい」

 私の知らないチハルだった。今度疲れているときにご飯を食べさせようと考え込み話しを聞いた。

「マサトは内緒にしているみたいだけど、ヒビナさんって言う名前の講師に惚れているわね」
「え! あのクールなマサトが!?」
「私この間、アツシに話しを聞きました。ほんと以外ですよね」
「ヒビナさんは気付いていないみたいだけど、マサトと話すとき少し嬉しそうなのよね」

 マサトの恋バナが続き、話題はユキトに変わる。

「ユキトは明るくて周りが見えるところが可愛いわね。合宿中何度もお手伝いをしてくれて助かったわ」
「ユキトは昔から優しさの塊だったなぁ」

「アツシはどんな様子でした?」と聞くと、少し悩みながら話した。
「良いところって思うかも知れないけど、完璧過ぎて心配なのよ。茂さんも心配していて、俺が支えるって話してたけど」

 てっきり可愛い話しが聞けると思っていた。完璧と思ったことは今までなかった。むしろ時々見せる優しい笑顔が、私にとってのアツシだったから……。

 長い時間話しをしていると、時刻は生放送の5分前になった。
 私達はテレビを期待の眼差しで見つめ、始まるのを待つ。


 このテレビの出演をきっかけに、社会現象になるとは、この時誰も思いもしなかった。
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