今から婚約破棄直後の悪役令嬢が通ります。ご注意ください。
 何故なら、エドガルド殿下がベロニカに対し婚約破棄した理由は、まったく身に覚えのない冤罪だったからだ。私が『ベロニカ』の記憶しか持たないままだったならば、長い金髪で怒髪天を突くような嘘の罪ばかり。

 おそらくは、ついこの前にハンカチを落とした彼女を追いかけ出会ったという隣国の貴族令嬢ソフィア・アルテナと結婚したいがために、文句の付けようもない婚約者ベロニカが邪魔になったのだろう。

 けれど、それならば筋を通して話して、婚約解消すれば良いだけの話だと思うの。

 婚約解消をするなら煩雑な事務手続きだったり、不利益を受ける側であるシュターデ公爵家との摺り合わせなど、長期間掛かることが予想される。

 ベロニカを『悪役』に仕立て上げて手っ取り早く排斥すれば良いと、安易に考えたのだろう。

 そんなエドガルド殿下の身勝手さがあまりにも腹立たしくて、私は綺麗な星空を見てなんとか落ち着こうとしていた。

 今夜エドガルド殿下より私が婚約破棄を宣言されたことは、まぎれもない事実なのだ。

 王太子より婚約破棄されてしまえば、ベロニカの貴族令嬢としての名誉は地に落ちたも同然。

< 2 / 18 >

この作品をシェア

pagetop