悪女の代行を演じたら氷の御曹司に永久就職⁉〜お見合い破談に大失敗!私は彼に丸め込まれ溺愛されてます~
そして17時59分。

「お待たせしましたぁー。はあはあ… 志遠さん、お久しぶりでーす」

何とか間に合った。
ラウンジのカウンターに座りシャンパンを傾けていた彼が目を見開いてこちらを振り返った。
そして高級な物であろう腕時計に目をやると「時間通り」と呟いた気がした。

「こちらにお邪魔しまぁーす」

ハァハァと微かに肩を揺らしながら隣に座ると彼は周りを見渡し席を立った。
そして自分の上着を私の肩に強引にかけ「他のおと、いや、風邪ひく」と隣にまた座る。

「おと、?」
「何でもない」

少し頬が赤い?
今日の彼はいつもの仕事中の冷たさは感じずいつもは軽く後ろに流してる前髪が下りてて少し幼くみえる。

「また誘ってるのか」

赤みが差したような彼の頬に自然と触れてしまった。

「いえいえ!とんでもございません…です」

手を勢いよく引くけど大きい彼の手に包まれて焦りで変な日本語になってしまう。

何で今日はそんなに優しい瞳で見るの。
待ち合わせバッティングとかイライラしたけど許しちゃいそうになるじゃない。

「ところで志遠さん、お話なんですが」

「話?あぁ、今度、旅行でもどうかと思ってね」

私にパンフレットをカウンターの上に滑らせた。

何を悠長なこと言うの?
その話だけの為に私は急がされて。

「あの、何度も言いますけど…私はもう、んっ」

「それ以上、今日は聞かない」

私の唇に人さし指をあてた。
そして真っ赤な口紅をクイッと指先で拭い取り私の唇には赤い名残りしかない。

「志遠さん!」

私の口紅が白く長い彼の指先に…なんと言うか妖艶過ぎる!
ブルーの瞳が“何も言うな”と笑みを浮かべた気がした。
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