後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
自国の勝利で、戦争が終わった。
その一報は、疾風の如き速さで国中に広まった。
遠い国境での争いで、影響を受けることもあまりないといえども、親兄弟が一兵として参加している者達も当然身近にはいる。
負けることのない戦争だと言われてはいたが、その場に立つ以上、怪我や死が無縁なわけではない。
日々、不安を抱えていた家族は喜びに涙を流した。
そして戦勝の喜びと共に、もう一つの噂が国中を駆け巡る。
それは、尊き身の上でありながら先頭に立ち戦った勇敢な王子と、少しでも愛しい人の助けになりたいと最前線の医療所で看護にあたったお姫様の恋物語だ。
そのお姫様は、敗戦した国から幼い頃に名ばかりの側室として人質のように送り込まれた。
自国の身内からは、嫁がせた以上はそちらのお好きなようにと亡き者として扱われ、後宮の端でだれにも顧みられることなくひっそりと暮らしていたそうだ。
大きな戦の後の事後処理でごたついていた王城の人々は、庇護者のいない小さなお姫様の存在をうっかり見落としてしまったらしい。
送り込まれてきた時のあまりの幼さゆえに側室として扱われることもなく、たった1人ついてきてくれた侍女と肩を寄せ合うようにして暮らす寂しい日々。
王城の中にある小さな森で、生きるためにメイドのふりをして薬草や食料を得ていたお姫様は、やがて1人の騎士と巡り会う事になる。
それは、王である父親を支え、国のために働きたいと近衛兵になる事を選んだ第5王子だった。
互いの本当の身分を知らないままに惹かれ合う2人は、やがて真実を知る事になる。
婚姻すら交わしていないとはいえ、もとは父親の花嫁となるために送り込まれてきた存在だ。
若い2人は苦悩するが、生まれてしまった恋心は止めることはできない。
幸か不幸か、不遇の身ゆえにお姫様の潔白は周知の事実だった。
その上、王は送り込まれる側室という名の人質を憐れみ、本人の希望を聞いてより良い相手へと下賜する事は、慣例となっていた。
「あなたを迎えるにふさわしい手柄を立ててくるから、どうか信じて待っていてほしい」
固い誓いを残して、王子は戦場へと旅立つ。
「どうか貴方が無事に戻りますように」
お姫様は、手作りの腕輪を渡し、その背中を涙ながらに見送った。
その一報は、疾風の如き速さで国中に広まった。
遠い国境での争いで、影響を受けることもあまりないといえども、親兄弟が一兵として参加している者達も当然身近にはいる。
負けることのない戦争だと言われてはいたが、その場に立つ以上、怪我や死が無縁なわけではない。
日々、不安を抱えていた家族は喜びに涙を流した。
そして戦勝の喜びと共に、もう一つの噂が国中を駆け巡る。
それは、尊き身の上でありながら先頭に立ち戦った勇敢な王子と、少しでも愛しい人の助けになりたいと最前線の医療所で看護にあたったお姫様の恋物語だ。
そのお姫様は、敗戦した国から幼い頃に名ばかりの側室として人質のように送り込まれた。
自国の身内からは、嫁がせた以上はそちらのお好きなようにと亡き者として扱われ、後宮の端でだれにも顧みられることなくひっそりと暮らしていたそうだ。
大きな戦の後の事後処理でごたついていた王城の人々は、庇護者のいない小さなお姫様の存在をうっかり見落としてしまったらしい。
送り込まれてきた時のあまりの幼さゆえに側室として扱われることもなく、たった1人ついてきてくれた侍女と肩を寄せ合うようにして暮らす寂しい日々。
王城の中にある小さな森で、生きるためにメイドのふりをして薬草や食料を得ていたお姫様は、やがて1人の騎士と巡り会う事になる。
それは、王である父親を支え、国のために働きたいと近衛兵になる事を選んだ第5王子だった。
互いの本当の身分を知らないままに惹かれ合う2人は、やがて真実を知る事になる。
婚姻すら交わしていないとはいえ、もとは父親の花嫁となるために送り込まれてきた存在だ。
若い2人は苦悩するが、生まれてしまった恋心は止めることはできない。
幸か不幸か、不遇の身ゆえにお姫様の潔白は周知の事実だった。
その上、王は送り込まれる側室という名の人質を憐れみ、本人の希望を聞いてより良い相手へと下賜する事は、慣例となっていた。
「あなたを迎えるにふさわしい手柄を立ててくるから、どうか信じて待っていてほしい」
固い誓いを残して、王子は戦場へと旅立つ。
「どうか貴方が無事に戻りますように」
お姫様は、手作りの腕輪を渡し、その背中を涙ながらに見送った。