後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
「怒られませんか?」
「あぁ。手付かずだったのは、ワザワザここに入り込もうとする物好きがいなかっただけだ。知人もこの森にコレほど多様な薬草が自生しているとは、と驚いていたくらいだしな」
王宮の薬師をしている友人の目を丸くしている顔を思い出して、マリオンはククッと少し笑った。
眉間のシワがデフォルトである友人の珍しい顔を見てしまった。
「こっちは急ぎではないので、次にでも余裕があるときに分けてもらえたらいいそうだ」
「わかりました。どの薬草が必要とおっしゃってたか、分かりますか?」
和らいだマリオンの様子に、安心したらしい少女も、少し笑みを浮かべながら首を傾げる。
「確か鎮痛薬を作る………なんだったかな?」
友人の言葉を思い出そうと、マリオンは必死に記憶を探るが、耳に馴染みのない言葉はするりと抜けてしまったようで一向に浮かんでこない。
「それならコレでしょうね。ここにあって希少と言われる鎮痛作用のあるものはレサだけなので」
カゴの中から棘のある肉厚の葉を示した少女に、「多分」と曖昧に頷けばくすくすと笑われてしまった。
満足に使いもできない自分を笑われてしまって気まずく頭をかくが、別段嫌な気持ちにはならないのが不思議だ。
気まずいような擽ったいような不思議な感覚は、母のお使いを失敗してしまった幼い頃を思い出させた。
それは、きっと少女の瞳が咎める色もなく、ただひたすらに優しいからだろう。
「この間採ってしまったので、レサの葉を採取できるのはもう少し後になってしまいます。乱獲すると次が困るので。代わりに同じ作用のあるケーサならすぐにお渡しできます、とお伝えしてもらえますか?」
「ケーサ……ケーサだな。分かった」
この度こそ忘れないように数度繰り返して頷けば、その様子が可笑しかったのかまたクスクスと笑われてしまう。
「ところで、貴女に会うにはどうすればいいだろうか?」
「そうですね……」
その後、今後の連絡方法などを話し合い、ようやく2人が名乗りあったのは、別れの挨拶をしたその後、だった。
「あぁ。手付かずだったのは、ワザワザここに入り込もうとする物好きがいなかっただけだ。知人もこの森にコレほど多様な薬草が自生しているとは、と驚いていたくらいだしな」
王宮の薬師をしている友人の目を丸くしている顔を思い出して、マリオンはククッと少し笑った。
眉間のシワがデフォルトである友人の珍しい顔を見てしまった。
「こっちは急ぎではないので、次にでも余裕があるときに分けてもらえたらいいそうだ」
「わかりました。どの薬草が必要とおっしゃってたか、分かりますか?」
和らいだマリオンの様子に、安心したらしい少女も、少し笑みを浮かべながら首を傾げる。
「確か鎮痛薬を作る………なんだったかな?」
友人の言葉を思い出そうと、マリオンは必死に記憶を探るが、耳に馴染みのない言葉はするりと抜けてしまったようで一向に浮かんでこない。
「それならコレでしょうね。ここにあって希少と言われる鎮痛作用のあるものはレサだけなので」
カゴの中から棘のある肉厚の葉を示した少女に、「多分」と曖昧に頷けばくすくすと笑われてしまった。
満足に使いもできない自分を笑われてしまって気まずく頭をかくが、別段嫌な気持ちにはならないのが不思議だ。
気まずいような擽ったいような不思議な感覚は、母のお使いを失敗してしまった幼い頃を思い出させた。
それは、きっと少女の瞳が咎める色もなく、ただひたすらに優しいからだろう。
「この間採ってしまったので、レサの葉を採取できるのはもう少し後になってしまいます。乱獲すると次が困るので。代わりに同じ作用のあるケーサならすぐにお渡しできます、とお伝えしてもらえますか?」
「ケーサ……ケーサだな。分かった」
この度こそ忘れないように数度繰り返して頷けば、その様子が可笑しかったのかまたクスクスと笑われてしまう。
「ところで、貴女に会うにはどうすればいいだろうか?」
「そうですね……」
その後、今後の連絡方法などを話し合い、ようやく2人が名乗りあったのは、別れの挨拶をしたその後、だった。