後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
8. 恋の自覚は突然に
「俺はどうしたのだろうか?」
「いや、何が?」
薬草のカゴを押しつけながら呟くマリオンに、アギトックは首を傾げた。
薬師を表す深緑のローブに、神経質そうに寄せられた眉。太陽など無縁の生活な肌は、白を通り越して不健康に青白い。
目の下にくっきりと浮かんだクマが、さらに見た目の不健康さを後押ししている彼は、レイラに薬草の依頼をしている「友人」だった。
さらに付け加えるならば、フィリアスと共に幼年期からのマリオンの幼馴染である。
そして、なんだかんだと続く腐れ縁で、定期的に3人集まって飲みに行くほどには仲が良い。
快楽主義に走りがちなフィリアスと、真面目で1つの物事をとことんまで突き詰めたがるアギトック。
性格があまりに違いすぎるせいで、反発するより仲良くなってしまった。というか、間にマリオンという緩衝材がいたからこそ成り立った「3人」という関係である。
状態のいい薬草に心持ち眉間の谷間を薄れさせながら、話半分に聞いていたアギトックは、ようやく視線をマリオンへと向けた。
「僕はこの最高の状態の薬草を、最高の状態の薬に仕上げるのに忙しい。よって、僕自身には到底理解不能な衝動の相談に乗っている暇はない」
眉間の谷間が復活している。
そうして、頬を赤く染め情けなく眉尻を下げている幼馴染に重々しく告げた。
「それは僕の管轄外だ。フィリに聞け」
指先で扉を示し、しっしっと手を振るジェスチャー付きである。
そうして、用事は終わったとばかりに再度薬草へと向き直ると、優しい手つきで薬草の束を取り上げる。
その瞳は愛おしげに細まり、今にも頬ずりして愛を囁きかねない程である。
アギトックは、薬草と薬の調合を心から愛する薬オタクだった。
すっかり自分のことを意識から追い出してしまった幼馴染に「つめたい」とつぶやきつつ、マリオンは、さらなる相談相手を求めてトボトボと歩き出した。
「いや、何が?」
薬草のカゴを押しつけながら呟くマリオンに、アギトックは首を傾げた。
薬師を表す深緑のローブに、神経質そうに寄せられた眉。太陽など無縁の生活な肌は、白を通り越して不健康に青白い。
目の下にくっきりと浮かんだクマが、さらに見た目の不健康さを後押ししている彼は、レイラに薬草の依頼をしている「友人」だった。
さらに付け加えるならば、フィリアスと共に幼年期からのマリオンの幼馴染である。
そして、なんだかんだと続く腐れ縁で、定期的に3人集まって飲みに行くほどには仲が良い。
快楽主義に走りがちなフィリアスと、真面目で1つの物事をとことんまで突き詰めたがるアギトック。
性格があまりに違いすぎるせいで、反発するより仲良くなってしまった。というか、間にマリオンという緩衝材がいたからこそ成り立った「3人」という関係である。
状態のいい薬草に心持ち眉間の谷間を薄れさせながら、話半分に聞いていたアギトックは、ようやく視線をマリオンへと向けた。
「僕はこの最高の状態の薬草を、最高の状態の薬に仕上げるのに忙しい。よって、僕自身には到底理解不能な衝動の相談に乗っている暇はない」
眉間の谷間が復活している。
そうして、頬を赤く染め情けなく眉尻を下げている幼馴染に重々しく告げた。
「それは僕の管轄外だ。フィリに聞け」
指先で扉を示し、しっしっと手を振るジェスチャー付きである。
そうして、用事は終わったとばかりに再度薬草へと向き直ると、優しい手つきで薬草の束を取り上げる。
その瞳は愛おしげに細まり、今にも頬ずりして愛を囁きかねない程である。
アギトックは、薬草と薬の調合を心から愛する薬オタクだった。
すっかり自分のことを意識から追い出してしまった幼馴染に「つめたい」とつぶやきつつ、マリオンは、さらなる相談相手を求めてトボトボと歩き出した。