後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
ようやく仕事から解放され、最近お気に入りの女の子のいる飲み屋にでも繰り出そうとしていたところを捕まったフィリアスは、適当に連れ込まれた酒場で持ちかけられた相談に目を丸くした。
目の前に座っているほんのり頬を赤く染めたこいつは誰だ?てか、何をトチ狂った発言(こと)を言ってるんだ?
側にいると嬉しい?
もっと近くにいたい?ずっと側にいて欲しい?
うっかり衝動のままにそんな事を伝えたら赤くなって逃げられたんだがどうすれば良い?って、それを聞かれた俺の方がどうすりゃ良いんだ。
思春期の初恋かよ!……ってそういえばこいつから女の子とのこういう話、聞くの初めてだわ。
マジか〜〜。
思わず天を仰ぐフィリアスの目に飛び込んでくるのは、残念ながら救いではなく明かりに群がる夜の虫と煙に燻された酒場の天井だけだった。
「あ〜〜大丈夫。とりあえず嫌われてるとかは無いと思うから」
なんとも言えない気持ちをエールと共に呑み込んで、フィリアスはどうにか返事らしきものを絞り出した。
酔えば男同士だしと下ネタ話で盛り上がっては、真面目なマリオンをからかっていたバチが当たったのかとフィリアスは真剣に悩んだ。
恋愛未満の相談が、こんなに恥ずかしいものだとは知らなかった。
主にされた方が。だってしてる本人は恋愛だって、気づいてもいないから!
(女の攻略法聞かれるならまだしも、「俺のこの気持ちはなんなんだ」って、そんな話は初等部で卒業してくれ!もしくは俺を巻き込まないで!?)
切なる心の声は、しかしどうにか飲み込んだ。
家庭が少々厄介で、一早い自立を目指していた真面目なマリオンが、ようやく他に目を向けることができたのはめでたい事だ。
そして、確かに薬草バカのアギトックに比べたら自分の方がこの手の話は適任……かもしれない。
色々自己説得のための言葉を重ね、片隅では体良く自分に押し付けたアギトックに恨み言をつぶやきつつ、フィリアスはようやく目の前の真面目な友人と向き合う気力を絞り出した。
「本当か?嫌われてない?」
「赤くなってたんだろ?照れただけだよ、多分」
縋るような視線に頷きつつ、エールを飲み干しお代わりを頼む。
こんな話、飲まずにやってられるか。
「ところでいつの間に女の子と知り合ったんだ?お前、基本寮と職場の往復だろ?」
四六時中一緒にいるわけでも無いが、班こそ違えど同じ職場だ。少なくとも、マリオンに女の影を見た記憶がない。
不思議そうなフィリアスに、そういえば言ってなかったとマリオンはポンと手を叩いた。
ファリアスは最初の一度の探索で満足して、その後興味もなさそうだったから忘れていたのだ。
「前にフィリの言ってた「境の森の魔女」だよ。見つけたんだ」
「は?はぁぁぁ??!マジで?いつ?どこで?!」
予想外の言葉に、フィリアスが大声をあげ身を乗り出してきた。
酒場の喧騒の中でも響き渡ったその声に周囲の注目が集まり、マリオンは眉をひそめた。
「ちょっと声落とせ」
肩を押して座るように促せば、大人しく座り込んだフィリアスが再び身を乗り出してくる。
「で?いつから?!」
「3カ月くらい前、かな。偶然会ってだな……」
予想以上に食いついてきたフィリアスに若干引きつつマリオンは出会いの日からの出来事を語り出した。
目の前に座っているほんのり頬を赤く染めたこいつは誰だ?てか、何をトチ狂った発言(こと)を言ってるんだ?
側にいると嬉しい?
もっと近くにいたい?ずっと側にいて欲しい?
うっかり衝動のままにそんな事を伝えたら赤くなって逃げられたんだがどうすれば良い?って、それを聞かれた俺の方がどうすりゃ良いんだ。
思春期の初恋かよ!……ってそういえばこいつから女の子とのこういう話、聞くの初めてだわ。
マジか〜〜。
思わず天を仰ぐフィリアスの目に飛び込んでくるのは、残念ながら救いではなく明かりに群がる夜の虫と煙に燻された酒場の天井だけだった。
「あ〜〜大丈夫。とりあえず嫌われてるとかは無いと思うから」
なんとも言えない気持ちをエールと共に呑み込んで、フィリアスはどうにか返事らしきものを絞り出した。
酔えば男同士だしと下ネタ話で盛り上がっては、真面目なマリオンをからかっていたバチが当たったのかとフィリアスは真剣に悩んだ。
恋愛未満の相談が、こんなに恥ずかしいものだとは知らなかった。
主にされた方が。だってしてる本人は恋愛だって、気づいてもいないから!
(女の攻略法聞かれるならまだしも、「俺のこの気持ちはなんなんだ」って、そんな話は初等部で卒業してくれ!もしくは俺を巻き込まないで!?)
切なる心の声は、しかしどうにか飲み込んだ。
家庭が少々厄介で、一早い自立を目指していた真面目なマリオンが、ようやく他に目を向けることができたのはめでたい事だ。
そして、確かに薬草バカのアギトックに比べたら自分の方がこの手の話は適任……かもしれない。
色々自己説得のための言葉を重ね、片隅では体良く自分に押し付けたアギトックに恨み言をつぶやきつつ、フィリアスはようやく目の前の真面目な友人と向き合う気力を絞り出した。
「本当か?嫌われてない?」
「赤くなってたんだろ?照れただけだよ、多分」
縋るような視線に頷きつつ、エールを飲み干しお代わりを頼む。
こんな話、飲まずにやってられるか。
「ところでいつの間に女の子と知り合ったんだ?お前、基本寮と職場の往復だろ?」
四六時中一緒にいるわけでも無いが、班こそ違えど同じ職場だ。少なくとも、マリオンに女の影を見た記憶がない。
不思議そうなフィリアスに、そういえば言ってなかったとマリオンはポンと手を叩いた。
ファリアスは最初の一度の探索で満足して、その後興味もなさそうだったから忘れていたのだ。
「前にフィリの言ってた「境の森の魔女」だよ。見つけたんだ」
「は?はぁぁぁ??!マジで?いつ?どこで?!」
予想外の言葉に、フィリアスが大声をあげ身を乗り出してきた。
酒場の喧騒の中でも響き渡ったその声に周囲の注目が集まり、マリオンは眉をひそめた。
「ちょっと声落とせ」
肩を押して座るように促せば、大人しく座り込んだフィリアスが再び身を乗り出してくる。
「で?いつから?!」
「3カ月くらい前、かな。偶然会ってだな……」
予想以上に食いついてきたフィリアスに若干引きつつマリオンは出会いの日からの出来事を語り出した。