後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
11. 薮から出てきた蛇はデカかった
「なんて面倒な相手に惚れちゃったんだよ、あいつ……」
さっきまで会話に興じていた相手の遠ざかる背中に手を振っていたフィリアスは、その華奢な後ろ姿が角を曲がり見えなくなった瞬間、スッと笑顔を消して肩を落とした。
そのまま、建物の壁に背を預け、ズルズルと行儀悪く座り込む。
「あ〜〜〜、どうすっかなぁ〜〜〜」
ボヤキは誰に聞かれることもなく、虚しく地面に吸い込まれていった。
「境の森の魔女」の時と違い、マリオンの「初恋の君」の情報はアッサリと見つかると思っていたのだ。
何しろ初期情報が違う。
「まだ若い女性で後宮に住んでいるから、おそらくメイドだと思う」
「俺の2歳下だと言っていた」
「薬草に詳しく、自分で薬も調合する。この間、お前に使ったのも彼女から譲ってもらったものだ」
そのほかにも髪や瞳の色。容姿が整って美しい為、黙っていればまるで妖精のようで近づきがたいほどだが、笑うととても可愛らしい、など。
砂を吐きそうな惚気も山のように垂れ流されたけれど、まぁ、そこは割愛する。
ともかく普段から沢山の女友達(・・・)に囲まれているフィリアスにとって、後宮の住人といえどそれほどの初期情報があれば、見つける事はさほど難しい事ではない筈だった。
ところが、現状は予想外に難航した。
複数の人に声をかけ、相手に不自然に思われないよう慎重に情報を集めるのだが、そんな容姿の侍女はいないという。
そこで、境の森で薬を売っているくらいだから、後宮でも同じことをしているのではないかと、そちら方面から攻めることにしてみた。
「綺麗な手だね。何か特別なクリームでも使ってるの?」
「最近、肌がより美しくなってきたね」
褒め言葉と甘い笑顔で擽れば、ついにそれらしい情報を見つけることができた。
曰く。
「侍女仲間にオリジナルのクリームを分けて貰ってる」
そうしてたどり着いたのは、小国から嫁いできた側室に仕える侍女だった。
さっきまで会話に興じていた相手の遠ざかる背中に手を振っていたフィリアスは、その華奢な後ろ姿が角を曲がり見えなくなった瞬間、スッと笑顔を消して肩を落とした。
そのまま、建物の壁に背を預け、ズルズルと行儀悪く座り込む。
「あ〜〜〜、どうすっかなぁ〜〜〜」
ボヤキは誰に聞かれることもなく、虚しく地面に吸い込まれていった。
「境の森の魔女」の時と違い、マリオンの「初恋の君」の情報はアッサリと見つかると思っていたのだ。
何しろ初期情報が違う。
「まだ若い女性で後宮に住んでいるから、おそらくメイドだと思う」
「俺の2歳下だと言っていた」
「薬草に詳しく、自分で薬も調合する。この間、お前に使ったのも彼女から譲ってもらったものだ」
そのほかにも髪や瞳の色。容姿が整って美しい為、黙っていればまるで妖精のようで近づきがたいほどだが、笑うととても可愛らしい、など。
砂を吐きそうな惚気も山のように垂れ流されたけれど、まぁ、そこは割愛する。
ともかく普段から沢山の女友達(・・・)に囲まれているフィリアスにとって、後宮の住人といえどそれほどの初期情報があれば、見つける事はさほど難しい事ではない筈だった。
ところが、現状は予想外に難航した。
複数の人に声をかけ、相手に不自然に思われないよう慎重に情報を集めるのだが、そんな容姿の侍女はいないという。
そこで、境の森で薬を売っているくらいだから、後宮でも同じことをしているのではないかと、そちら方面から攻めることにしてみた。
「綺麗な手だね。何か特別なクリームでも使ってるの?」
「最近、肌がより美しくなってきたね」
褒め言葉と甘い笑顔で擽れば、ついにそれらしい情報を見つけることができた。
曰く。
「侍女仲間にオリジナルのクリームを分けて貰ってる」
そうしてたどり着いたのは、小国から嫁いできた側室に仕える侍女だった。