後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
「ねむれない・・・」
レイラは、寝台の上で幾度も寝返りを繰り返した後、あきらめたように一つため息をつくと体を起こした。
時刻は深夜を回っている。
早寝早起きを信条としているいつものレイラなら、とっくの昔に夢の中にいる時間だ。
だけど。
安らかな夢の世界に旅立つには、今日一日は刺激が強すぎた。
(まさかマリオン様が王子様だったなんて)
なんとなく上品な立ち振る舞いから、高貴な血が流れているのかな・・・・と感じてはいたが、まさか現王の血筋とは思わなかった。
(だって王子様がお供の一人もつけずにふらふらしてるなんて思わないじゃない)
そこまで考えて、レイラはクスリと笑った。
(それを言ったら、一人で森を歩き回って自給自足するお妃さまも大概ひどいわね)
はっきり言ってあり得ない。
だけど、そんな二人だから出会えたのだと思えば、すごく不思議な気持ちになった。
そのまま寝台を降り、そっとバルコニーから顔をだした。
(・・・きれい)
空には、とても大きな満月がかかっていて、レイラは誘われるように歩き出す。
どこか目的があるわけでもないけれど、月の光に照らされシンと冷えた空気は、突然の出来事に混乱した頭を冷やしてくれそうな気がしたのだ。
そのまま、この四年で結構な広さになってしまった家庭菜園を抜け、森の中へと入る。
王城の敷地内にあるとはいえ、夜の森など危ないと咎められそうなものだが、レイラにとっては目を閉じても歩けそうなほど慣れた場所だ。
月明かりに照らされた小道をそぞろ歩く。
(私はどうしたいのかしら・・・)
瞬く間に物事の道筋が整えられていく。
王子様との幸せな結末への。
だけどそれは、ようやく自分の思いに気づいたばかりのレイラにとっては、とてもついていけないほどのスピードだった。
嫌なわけではない……、と、思う。
ただ、あまりの展開の速さに心が付いていけないのだ。
自分の事なのに、まるで人ごとのように感じてしまう。
こんなあいまいな気持ちのまま、受けていい話ではないはずだ。
だって、危険な事は無いと言っていたけれど、マリオンは、争いのある場所に行こうとしているのだ。
牽制のためというが、裏を返せば、いつ本格的な戦へと突入してもおかしくないということではないのか・・・。
(ダメ・・・・頭の中ぐちゃぐちゃで、もう訳わかんない・・・)
柔らかな月の光に照らされた森はとても静かで、いつもなら心安らぐ場所なのに、今日のレイラには効果がないようだった。
ため息が出そうな心を抱え、レイラは森を歩き続ける。
レイラは、寝台の上で幾度も寝返りを繰り返した後、あきらめたように一つため息をつくと体を起こした。
時刻は深夜を回っている。
早寝早起きを信条としているいつものレイラなら、とっくの昔に夢の中にいる時間だ。
だけど。
安らかな夢の世界に旅立つには、今日一日は刺激が強すぎた。
(まさかマリオン様が王子様だったなんて)
なんとなく上品な立ち振る舞いから、高貴な血が流れているのかな・・・・と感じてはいたが、まさか現王の血筋とは思わなかった。
(だって王子様がお供の一人もつけずにふらふらしてるなんて思わないじゃない)
そこまで考えて、レイラはクスリと笑った。
(それを言ったら、一人で森を歩き回って自給自足するお妃さまも大概ひどいわね)
はっきり言ってあり得ない。
だけど、そんな二人だから出会えたのだと思えば、すごく不思議な気持ちになった。
そのまま寝台を降り、そっとバルコニーから顔をだした。
(・・・きれい)
空には、とても大きな満月がかかっていて、レイラは誘われるように歩き出す。
どこか目的があるわけでもないけれど、月の光に照らされシンと冷えた空気は、突然の出来事に混乱した頭を冷やしてくれそうな気がしたのだ。
そのまま、この四年で結構な広さになってしまった家庭菜園を抜け、森の中へと入る。
王城の敷地内にあるとはいえ、夜の森など危ないと咎められそうなものだが、レイラにとっては目を閉じても歩けそうなほど慣れた場所だ。
月明かりに照らされた小道をそぞろ歩く。
(私はどうしたいのかしら・・・)
瞬く間に物事の道筋が整えられていく。
王子様との幸せな結末への。
だけどそれは、ようやく自分の思いに気づいたばかりのレイラにとっては、とてもついていけないほどのスピードだった。
嫌なわけではない……、と、思う。
ただ、あまりの展開の速さに心が付いていけないのだ。
自分の事なのに、まるで人ごとのように感じてしまう。
こんなあいまいな気持ちのまま、受けていい話ではないはずだ。
だって、危険な事は無いと言っていたけれど、マリオンは、争いのある場所に行こうとしているのだ。
牽制のためというが、裏を返せば、いつ本格的な戦へと突入してもおかしくないということではないのか・・・。
(ダメ・・・・頭の中ぐちゃぐちゃで、もう訳わかんない・・・)
柔らかな月の光に照らされた森はとても静かで、いつもなら心安らぐ場所なのに、今日のレイラには効果がないようだった。
ため息が出そうな心を抱え、レイラは森を歩き続ける。