後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
「北の国境に、隣国が本格的に攻め込んできてるみたいだ?」
マリオンが旅立ち、レイラの立場が少し変わっても、レイラとユリアは相変わらず後宮の端の部屋で過ごしていた。
長い間、2人きりの静かな生活に慣れていたレイラにとって、突然に増えた侍女やメイドに傅かれる生活はストレスでしか無かった。
もともと、森で暮らす狩人の家で育てられた娘だ。
基本的に、自分のことは自分でする生活だったし、この国に来てからも出来ることは自分でしていた。
レイラには、わざわざ服の着脱や入浴に人の手を借りる意味がわからない。
結局、3日で耐えられなくなり、元の生活に戻してもらった。
流石に森で狩りをするのをやめて、食事は後宮の台所から提供して貰うようになったのが、最大の譲歩と言えよう。
とりあえず衣食住の心配をしなくて良くなったおかげで、この国に来てから初めてのんびりと日々を過ごせるようになった。
尤ものんびりといっても、薬草摘みと薬作りは趣味だから!と相変わらず森へは足繁く通ってはいるし、さらに言えば、《王子妃》に恥ずかしく無い教養と礼儀作法をと、勉強の時間も増やされたのだが。
そういうわけで、そこそこ忙しく、けれど、「稼がないと!」という強迫観念がなくなった分のんびりと日々を過ごしている時に、その情報は飛び込んできたのだ。
話してくれたのは、薬や毛皮を買い取ってもらっていた商人だった。
使用人用の御用聞きをしている商会の一つで、コッソリと袖を引くローブを被った怪しい少女の取引相手になってくれた奇特な人物である。
マイク=ウェイバーという男で、歳の頃は40前半。
ひょろりとした体躯に人の良さそうな笑顔を浮かべた一見好人物。
しかし、よく見れば糸のように細い目の奥が笑っていないのがわかる。
月に一度、小型の幌馬車に荷物を積み込んでやってくると、使用人用入り口の側に店を広げている。
そこで欲しいものを売買してくれるのだ。
レイラ達の生活は、森の恵みと同じほどに、彼に支えられていたと言っても過言では無い。
レイラの作る薬は、効き目が良いとよく売れるらしい。
最初のうちは、出来たものを出来ただけ買い取ってもらっていたのが、「傷薬を多めに」とか「胃の薬が欲しい」など、毎回依頼が入るようになった。
数をそろえるのが大変な時もあったが、定期収入が出来るのはありがたかったので、出来る限り要望に応えるために頑張っていたら、調合の腕が上がったのはうれしい誤算だった。
マリオンが旅立ち、レイラの立場が少し変わっても、レイラとユリアは相変わらず後宮の端の部屋で過ごしていた。
長い間、2人きりの静かな生活に慣れていたレイラにとって、突然に増えた侍女やメイドに傅かれる生活はストレスでしか無かった。
もともと、森で暮らす狩人の家で育てられた娘だ。
基本的に、自分のことは自分でする生活だったし、この国に来てからも出来ることは自分でしていた。
レイラには、わざわざ服の着脱や入浴に人の手を借りる意味がわからない。
結局、3日で耐えられなくなり、元の生活に戻してもらった。
流石に森で狩りをするのをやめて、食事は後宮の台所から提供して貰うようになったのが、最大の譲歩と言えよう。
とりあえず衣食住の心配をしなくて良くなったおかげで、この国に来てから初めてのんびりと日々を過ごせるようになった。
尤ものんびりといっても、薬草摘みと薬作りは趣味だから!と相変わらず森へは足繁く通ってはいるし、さらに言えば、《王子妃》に恥ずかしく無い教養と礼儀作法をと、勉強の時間も増やされたのだが。
そういうわけで、そこそこ忙しく、けれど、「稼がないと!」という強迫観念がなくなった分のんびりと日々を過ごしている時に、その情報は飛び込んできたのだ。
話してくれたのは、薬や毛皮を買い取ってもらっていた商人だった。
使用人用の御用聞きをしている商会の一つで、コッソリと袖を引くローブを被った怪しい少女の取引相手になってくれた奇特な人物である。
マイク=ウェイバーという男で、歳の頃は40前半。
ひょろりとした体躯に人の良さそうな笑顔を浮かべた一見好人物。
しかし、よく見れば糸のように細い目の奥が笑っていないのがわかる。
月に一度、小型の幌馬車に荷物を積み込んでやってくると、使用人用入り口の側に店を広げている。
そこで欲しいものを売買してくれるのだ。
レイラ達の生活は、森の恵みと同じほどに、彼に支えられていたと言っても過言では無い。
レイラの作る薬は、効き目が良いとよく売れるらしい。
最初のうちは、出来たものを出来ただけ買い取ってもらっていたのが、「傷薬を多めに」とか「胃の薬が欲しい」など、毎回依頼が入るようになった。
数をそろえるのが大変な時もあったが、定期収入が出来るのはありがたかったので、出来る限り要望に応えるために頑張っていたら、調合の腕が上がったのはうれしい誤算だった。