桜舞う空に、私の初恋がほどけていく。
第2章:親友の告白、秘めたハチミツ
中学校という新しい場所で、運命の歯車は面白いくらいに絡み合っていく。
2年生になり、私の好きな人・湊と、かつて蛙化した元片思い相手・颯太が、まさかの同じ部活で大親友になったのだ。
いつの間にか、私も含めた3人で話す機会が増えていった。
「おい湊、お前またスマホ見てデレデレしてんじゃねーよ」
「うるさいな颯太。……ほら、これ、新しく買った服。可愛すぎるだろ」
放課後の教室。湊が愛おしそうに画面を見つめている。噂の「溺愛する彼女」だ。
胸がチクリと痛む。やっぱり、私が入る隙なんてないんだ。
「はいはい、ごちそうさま。……あ、俺、部室に部誌忘れた。取ってくるわ」
颯太が席を立ち、教室を出ていく。
その直後、湊のスマホがブーッと震えた。画面には『お母さん』からの着信の文字。
「あ、もしもし?……うん、あいつのドッグフードね、了解」
ドッグフード……?
電話を切った湊に、私は思わず声をかけていた。
「ねえ、湊くん。さっき言ってた、可愛すぎるっていうのって……」
「えっ!? あ、いや、その……!」
私と目が合った瞬間、湊はいつものように顔を真っ赤にしてフリーズした。
「……実家で飼ってる、ポメラニアンの『ココちゃん』だけど……」
「え、彼女じゃなくて、犬!?」
「うん。……っていうか、葵、もしかして俺に彼女がいると思ってた?」
湊は耳まで真っ赤にしながら、だけどじっと私を見つめてくる。その瞳の熱さに、私の心臓が爆発しそうに跳ね上がった。
一方その頃。
忘れ物を取りに廊下を歩いていた颯太は、偶然、湊のスマホが机の上に置きっぱなしになっているのを見つけていた。
画面がパッと点灯する。そこに映っていたのは、犬の写真ではなく――体育祭で、後ろを向いて笑っている「葵」の盗撮写真だった。
『……あ。そういうことかよ、湊』
すべてを察した颯太の胸に、冷たい痛みが走る。
小学校1年生の日から、今日という日まで。イカの真似をして蛙化されようが、バカにされようが、颯太の視線の先にはずっと、葵だけがいた。
誰にも言えない9年目の初恋。
親友が恋い焦がれる相手は、自分が世界で一番愛おしい女の子だった。
夕暮れの廊下で、颯太はただ一人、甘くて苦いハチミツのような恋心を、そっと胸の奥に閉じ込めた。
2年生になり、私の好きな人・湊と、かつて蛙化した元片思い相手・颯太が、まさかの同じ部活で大親友になったのだ。
いつの間にか、私も含めた3人で話す機会が増えていった。
「おい湊、お前またスマホ見てデレデレしてんじゃねーよ」
「うるさいな颯太。……ほら、これ、新しく買った服。可愛すぎるだろ」
放課後の教室。湊が愛おしそうに画面を見つめている。噂の「溺愛する彼女」だ。
胸がチクリと痛む。やっぱり、私が入る隙なんてないんだ。
「はいはい、ごちそうさま。……あ、俺、部室に部誌忘れた。取ってくるわ」
颯太が席を立ち、教室を出ていく。
その直後、湊のスマホがブーッと震えた。画面には『お母さん』からの着信の文字。
「あ、もしもし?……うん、あいつのドッグフードね、了解」
ドッグフード……?
電話を切った湊に、私は思わず声をかけていた。
「ねえ、湊くん。さっき言ってた、可愛すぎるっていうのって……」
「えっ!? あ、いや、その……!」
私と目が合った瞬間、湊はいつものように顔を真っ赤にしてフリーズした。
「……実家で飼ってる、ポメラニアンの『ココちゃん』だけど……」
「え、彼女じゃなくて、犬!?」
「うん。……っていうか、葵、もしかして俺に彼女がいると思ってた?」
湊は耳まで真っ赤にしながら、だけどじっと私を見つめてくる。その瞳の熱さに、私の心臓が爆発しそうに跳ね上がった。
一方その頃。
忘れ物を取りに廊下を歩いていた颯太は、偶然、湊のスマホが机の上に置きっぱなしになっているのを見つけていた。
画面がパッと点灯する。そこに映っていたのは、犬の写真ではなく――体育祭で、後ろを向いて笑っている「葵」の盗撮写真だった。
『……あ。そういうことかよ、湊』
すべてを察した颯太の胸に、冷たい痛みが走る。
小学校1年生の日から、今日という日まで。イカの真似をして蛙化されようが、バカにされようが、颯太の視線の先にはずっと、葵だけがいた。
誰にも言えない9年目の初恋。
親友が恋い焦がれる相手は、自分が世界で一番愛おしい女の子だった。
夕暮れの廊下で、颯太はただ一人、甘くて苦いハチミツのような恋心を、そっと胸の奥に閉じ込めた。