御曹司様はもふもふ好きのペットシッターに運命を感じました
曙光
「はぁ……。ダメだ。湊さんの顔を見られない……」

いくら考えても1週間では答えは出せなかった。なぜなら、もう引き返せないほど湊さんのことが好きになっていたから。

週末のたびにディナーに連れて行ってくれるようになって、お姫様のようにエスコートしてもらったりしたら、好きにならないわけがない。ドレスコードがあるレストランに行くためにと洋服を選んでくれた時は「綺麗だ」と言ってもらい舞い上がっていた。

アレクセイの部屋に置いてあるリードを手にして動けなくなった私は、こんな気持ちのままではアレクセイのお世話だってきちんと出来なくなるかも。

「やっぱり辞めるしかないのかな……」

苦しい思いを口にすると連動するように瞳が潤んできた。しばらくその場に立ち尽くしていた私は、突如背後から伸びてきた腕に包まれていた。

「杏奈さん、どうして泣いてるの?」

湊さんの声が耳元で聞こえて慌てて涙を拭った。

「泣いてません」

涙がこぼれないように我慢していた私の声は少し鼻声になってしまっていた。

「本当に?」という言葉を聞くと同時に、湊さんに振り向かされた私は顔をジッと見られ思わず横を向いてしまう。湊さんは頬にあった涙に気がついたのか、私の頬をそっと撫でてきた。
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