御曹司様はもふもふ好きのペットシッターに運命を感じました
「杏奈さん。俺の話を聞いてほしい」
湊さんが真剣な瞳で訴えてきたので、コクンと首を縦に振った。
「俺は杏奈さんが好きだ」
聞こえた言葉に驚きすぎて思わず涙が引っ込んでしまった。依然として真剣な眼差しを向けてくる湊さんと視線がかみ合う。
「これほど誰かを愛おしいと思ったことがないんだ」
いつの間にか湊さんの両手は私の頬に添えられていた。
「藤井杏奈さん、俺と結婚してくれますか?」
湊さんの想いを聞き、再び涙が溢れて声が震えたが「はい」と答えることができた。小さな声だったが肯定の言葉が湊さんの耳にも届いたのだろう。次の瞬間、私の唇は湊さんに塞がれていた。
「もう離さないからな。覚悟しておいてくれよ」
額を合わせ、私に言い聞かせるような口調で告げられた。
「はい、離れません。ずっと私の隣にいてください」
しっかりと抱きしめられると、ふわりとムスクの香りが漂ってくる。これだけで湊さんに酔わされてしまう自分は幸せだな……と感じた。
湊さんにしっかりと手を握られ、お屋敷の奥へと歩いていく。奥にはゆっくりとお茶を楽しんでいた奥様と給仕をしていたおばあちゃんがいた。おばあちゃんの驚く顔にまた気持ちが沈みそうになるが、湊さんがギュッと手に力を込め、大丈夫だと伝えてくれた。