銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした
【エリーゼ視点】
荒野の夜が更け、焚き火の炎が静かに小さくなっていった頃。
レオンのマントにくるまり、彼の隣で浅い眠りについていた私は、不意に彼の身体が険しく強張るのを感じて目を覚ました。
「……エリーゼ、起きろ。俺から離れるな」
レオンの低く鋭い声。彼の銀色の耳は前方へと向けられ、琥珀色の瞳は暗闇を冷酷に見据えている。
そのただならぬ気配に、私の心臓がドサリと嫌な音を立てた。
「レオン、何か来るの……?」
「魔獣だ。それも、群れを成している。荒野の飢えた『ガーム(岩狼)』どもだな。おそらく、昼間の特訓で漏れ出たお前の魔力の残滓に引き寄せられた」
暗闇の向こうから、無数の赤い眼光が浮かび上がってくる。
グルルル……と地を這うような低い唸り声が、私たちのキャンプ地を包み込んでいく。前世の私なら、この圧倒的な暴力の気配の前に、恐怖で呼吸が止まっていただろう。今世の悪役令嬢としての記憶を見ても、これほどの恐怖に直面したことはない。
けれど、私の身体は不思議と震えていなかった。
すぐ隣で、レオンが背中の大剣を静かに引き抜く。金属の擦れる硬質な音が、私の心に冷徹な覚悟を灯してくれた。
「エリーゼ、昨日教えた『魔力障壁』を展開しろ。俺の背後から絶対に動くな」
「……ええ。分かったわ!」
私は大きく息を吸い込み、体内の膨大な魔力を練り上げた。
前世の、あの動かない身体の中でただ膨らむだけだった生命への執着が、今、確かな力となって身体の表面へと溢れ出す。
キィィィン――!
私たちの周囲に、闇を払うような美しい黄金色の球体『聖属性の魔力障壁』が展開された。それを見た岩狼たちが、一斉に牙を剥いて飛びかかってきた。
荒野の夜が更け、焚き火の炎が静かに小さくなっていった頃。
レオンのマントにくるまり、彼の隣で浅い眠りについていた私は、不意に彼の身体が険しく強張るのを感じて目を覚ました。
「……エリーゼ、起きろ。俺から離れるな」
レオンの低く鋭い声。彼の銀色の耳は前方へと向けられ、琥珀色の瞳は暗闇を冷酷に見据えている。
そのただならぬ気配に、私の心臓がドサリと嫌な音を立てた。
「レオン、何か来るの……?」
「魔獣だ。それも、群れを成している。荒野の飢えた『ガーム(岩狼)』どもだな。おそらく、昼間の特訓で漏れ出たお前の魔力の残滓に引き寄せられた」
暗闇の向こうから、無数の赤い眼光が浮かび上がってくる。
グルルル……と地を這うような低い唸り声が、私たちのキャンプ地を包み込んでいく。前世の私なら、この圧倒的な暴力の気配の前に、恐怖で呼吸が止まっていただろう。今世の悪役令嬢としての記憶を見ても、これほどの恐怖に直面したことはない。
けれど、私の身体は不思議と震えていなかった。
すぐ隣で、レオンが背中の大剣を静かに引き抜く。金属の擦れる硬質な音が、私の心に冷徹な覚悟を灯してくれた。
「エリーゼ、昨日教えた『魔力障壁』を展開しろ。俺の背後から絶対に動くな」
「……ええ。分かったわ!」
私は大きく息を吸い込み、体内の膨大な魔力を練り上げた。
前世の、あの動かない身体の中でただ膨らむだけだった生命への執着が、今、確かな力となって身体の表面へと溢れ出す。
キィィィン――!
私たちの周囲に、闇を払うような美しい黄金色の球体『聖属性の魔力障壁』が展開された。それを見た岩狼たちが、一斉に牙を剥いて飛びかかってきた。