銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした
【レオン視点】
ハルシオンの街は、リベルタの喧騒とは異なり、どこか厳かで静謐な空気が流れていた。
商業ギルドでの手続きを終え、俺たちは雲海を一望できるテラスのついた、小さな宿屋に部屋を取った。ここでもやはり、安全を最優先に考えて「一部屋」だ。さっきの山道での一件以来、エリーゼは俺と視線が合うたびに、どこかそわそわと落ち着かない様子を見せている。
(……自業自得だな)
彼女を動揺させまいと、あれほど牙を隠すと決めていたのに、山道で彼女の温かい手に触れられた瞬間、つい本音が漏れてしまった。
夕闇が訪れると、ハルシオンの夜空には、下界では見たこともないような無数の星々が輝き始めた。まるで、手を伸ばせば星屑が指の隙間から溢れ落ちてきそうなほど、近くて、眩しい。
「すごいわ、レオン……! 本当に、星が降ってきそう!」
エリーゼはテラスの柵に身を乗り出し、子供のように目を輝かせて夜空を見上げている。その横顔があまりにも美しくて、俺は星空ではなく、彼女から目を離せなくなっていた。
山の夜風が、エリーゼの細い身体を寒そうに震わせる。
俺は一歩近づき、彼女の背後から包み込むようにして、その肩にそっと手を置いた。
「あっ……」
エリーゼが小さく息を呑み、身体を固くする。だが、逃げようとはしなかった。
「寒いのなら、中に入ろう。それとも……俺がこうしている方が、温かいか?」
少しだけ意地悪な、けれど抑えきれない情愛を込めて囁く。彼女の小さな肩が、俺の胸元にぴったりと寄り添う形になった。
ハルシオンの街は、リベルタの喧騒とは異なり、どこか厳かで静謐な空気が流れていた。
商業ギルドでの手続きを終え、俺たちは雲海を一望できるテラスのついた、小さな宿屋に部屋を取った。ここでもやはり、安全を最優先に考えて「一部屋」だ。さっきの山道での一件以来、エリーゼは俺と視線が合うたびに、どこかそわそわと落ち着かない様子を見せている。
(……自業自得だな)
彼女を動揺させまいと、あれほど牙を隠すと決めていたのに、山道で彼女の温かい手に触れられた瞬間、つい本音が漏れてしまった。
夕闇が訪れると、ハルシオンの夜空には、下界では見たこともないような無数の星々が輝き始めた。まるで、手を伸ばせば星屑が指の隙間から溢れ落ちてきそうなほど、近くて、眩しい。
「すごいわ、レオン……! 本当に、星が降ってきそう!」
エリーゼはテラスの柵に身を乗り出し、子供のように目を輝かせて夜空を見上げている。その横顔があまりにも美しくて、俺は星空ではなく、彼女から目を離せなくなっていた。
山の夜風が、エリーゼの細い身体を寒そうに震わせる。
俺は一歩近づき、彼女の背後から包み込むようにして、その肩にそっと手を置いた。
「あっ……」
エリーゼが小さく息を呑み、身体を固くする。だが、逃げようとはしなかった。
「寒いのなら、中に入ろう。それとも……俺がこうしている方が、温かいか?」
少しだけ意地悪な、けれど抑えきれない情愛を込めて囁く。彼女の小さな肩が、俺の胸元にぴったりと寄り添う形になった。