凍てついた令嬢は、異国の太陽に抱かれる
第六十四話:至宝の毒、あるいは覇王の完全なる敗北(ゼオン視点)
「ーーくそ、エルサ、お前……いい加減にしろ……っ!」
ベッドの天蓋から見下ろす我が妃の姿に、俺は脳髄が沸騰するほどの衝撃と、抗えない敗北感を覚えていた。
一度目の契りで、確かに俺の熱(たいおん)をあいつの最奥へと刻み込んだはずだった。
初夜を迎えるまで、愛の向け方すら知らずに真っ白なまま凍りついていたうぶな花嫁。それが、たった一度、極上の絶頂という名の【快楽】をその身体に学習しただけで、今、信じられないほどの「仕様変更」を起こしている。
「ゼオン様……。どうして、止めてしまうのですか? 私の頭脳は、まだ貴方の熱を完全に計算し尽くしていません。……もっと、奥まで、私を壊すように触れてください……っ」
月光が差し込むシーツの上、エルサは乱れた薄物の隙間から、汗ばんだ純白の肢体を惜しげもなく晒していた。
琥珀色の瞳はトロンと淫らに潤み、完全に大人の防壁を失くした蕩けた笑顔で、俺の首筋に細い腕を絡め、自ら腰を擦りつけてくるのだ。
(おい、本当に勘弁しろ……。うぶなフリをして、俺を殺す気か……っ!)
エルサ自身は、ただ純粋に、初めて知った快楽への探求心と俺への恋心に従っているだけなのだろう。だが、その計算も計算外も含んだ「無自覚な誘惑」こそが、何よりも淫らな毒となって、俺の理性を根こそぎ消し飛ばしていく。
「お前がそこまで強請(ねだ)るなら……明日、ベッドから起き上がれなくなっても知らんぞ」
俺はエルサの細い太腿を大きく割り、一度目の交わりで十分に蜜を湛え、なおも熱く脈打っているそこへ、さらに大きく膨張した俺の塊を、容赦なく根元まで 穿(うが)ち入れた。
「あ、あぁっ……! ん、んぅ……っ、ゼオン、様……っ!!」
鋭い悲鳴を上げながらも、エルサの処女の狭隘(きょうあい)は、飢えた獣のような俺の質量を、歓喜するように吸い付き、 咥(くわ)え込んで離さない。
何度も、何度も、彼女の最奥の性感帯を容赦なく 突(つつ)き上げるたびに、激しい肉体の衝突音と、エルサの可愛らしい、淫らな喘ぎ声が静かな寝室を支配していく。
「は、ぁ……、熱い、です……っ。脳内が、真っ白になって……溶けて、しまう……っ! ゼオン様、もっと、強く……っ」
「ーーっ、エルサ、本当に、お前……っ!」
愛を知らなかったはずの少女が、今や俺を完全に籠絡(支配)している。
腰を動かすたびに、エルサの締め付けは格段にその密度を増し、俺の欲望の臨界点をどこまでも押し上げていく。一度では終わらない快楽の夜。二度、三度と熱い塊を彼女の最奥へと注ぎ込んでも、あいつのトロンとした瞳と、おねだりの声が、俺を休ませてはくれない。
(ああ、くそ……。完全に俺の負けだ、エルサ)
お前を閉じ込めるための甘やかな檻だったはずのこのベッドは、今や、俺を一生出さないための【至宝の檻】へと変貌していた。
俺のすべてを賭けて愛し抜くと誓ったその夜に、俺は、世界一愛おしい俺の妃の、底なしの快楽の底へと、ただただ溺れ堕ちていくのだった。
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