恋の練習のはずが、若手社長の溺愛に蕩かされています~声フェチ女子は断れない~
 きっと彼は彼で、相手との新鮮なやり取りを楽しんでいるのだ。

 そう思えばかえって嬉しい。

 だから怒りではなく『拗ねた声』だ。

 だが郁の反応に対して、風早からすぐに返事はなかった。

 ここまでポンポン会話ができたのに、いきなり途切れて郁は不思議に思う。

「風早社長?」

 運転席の風早のほうを伺う。

 でも浮かんだのは疑問だった。

 風早は口元に笑みを浮かべている。どこか満足げだ。

 郁はつい見とれてしまう。

 高速道路の灯かりに照らされた横顔が美しくて……。

 彼が声を発していないときなのに、軽く鼓動が速くなった。
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