完璧すぎる彼氏
祖母が残したもの
第17話 「祖母が残したもの」
「今から、一緒に来てほしい場所がある。」
休日の朝。
蒼真は少し緊張した表情で花音を迎えに来た。
車が向かったのは、市街地から少し離れた静かな町だった。
木々に囲まれた細い道を抜けると、小さな平屋が見えてくる。
白い外壁に、手入れの行き届いた庭。
色とりどりの花が風に揺れていた。
「ここ……。」
「祖母の家なんだ。」
蒼真は鍵を取り出し、ゆっくりと扉を開けた。
家の中は驚くほどきれいだった。
木の香りが残る廊下。
磨き上げられた床。
窓辺には祖母が好きだったという花が飾られている。
「今でも手入れしてるの?」
花音が尋ねると、蒼真は小さくうなずいた。
「おばあちゃんが大切にしていた家だから。」
仏間へ案内されると、一枚の写真が飾られていた。
優しく笑う女性。
「きっと、優しいおばあちゃんだったんだね。」
「うん。」
蒼真は写真に向かって手を合わせる。
「この人だけは、いつも俺の味方だった。」
花音も静かに手を合わせた。
その姿を見て、蒼真は少しだけ目を細める。
「花音。」
「ん?」
「おばあちゃんは、よく言ってたんだ。」
『人はね、どれだけ傷ついても、誰か一人に愛されれば、また笑える日が来るよ。』
蒼真は優しく笑った。
「昔は信じられなかった。」
「……。」
「でも今は信じられる。」
花音は照れくさそうに笑う。
「それって私のおかげ?」
「そう。」
迷いのない返事だった。
その言葉に、花音の頬が赤く染まる。
「ちょっと恥ずかしい。」
「本当のことだから。」
蒼真は棚の引き出しを開け、一冊の古いノートを取り出した。
「これは?」
「大学一年の頃から書いていたノート。」
中には古い物件の写真や間取り、リノベーションのアイデアがびっしり書かれていた。
「すごい……。」
ページをめくる花音の手が止まる。
一枚の押し花が挟まれていた。
四つ葉のクローバー。
「これ……。」
「高校のとき、君が拾ってくれたもの。」
花音は首をかしげる。
「私?」
「覚えてないよね。」
蒼真は少し寂しそうに笑う。
「うん……ごめん。」
「謝らなくていい。」
そう言って、押し花をそっと元の場所へ戻した。
「君は忘れても、俺には宝物だから。」
花音は胸が締めつけられた。
この人は、どれだけ長い時間、自分を想い続けてきたのだろう。
その想いの深さに、嬉しさと切なさが込み上げる。
そのとき、仏壇の横に置かれた一枚の封筒が花音の目に入った。
表には、祖母の優しい字で書かれている。
『蒼ちゃんへ』
蒼真はその封筒を静かに見つめ、小さく息をついた。
「まだ……読めてないんだ。」
祖母が亡くなってから、ずっと。
大切すぎて、開くことができなかった手紙だった。
「今から、一緒に来てほしい場所がある。」
休日の朝。
蒼真は少し緊張した表情で花音を迎えに来た。
車が向かったのは、市街地から少し離れた静かな町だった。
木々に囲まれた細い道を抜けると、小さな平屋が見えてくる。
白い外壁に、手入れの行き届いた庭。
色とりどりの花が風に揺れていた。
「ここ……。」
「祖母の家なんだ。」
蒼真は鍵を取り出し、ゆっくりと扉を開けた。
家の中は驚くほどきれいだった。
木の香りが残る廊下。
磨き上げられた床。
窓辺には祖母が好きだったという花が飾られている。
「今でも手入れしてるの?」
花音が尋ねると、蒼真は小さくうなずいた。
「おばあちゃんが大切にしていた家だから。」
仏間へ案内されると、一枚の写真が飾られていた。
優しく笑う女性。
「きっと、優しいおばあちゃんだったんだね。」
「うん。」
蒼真は写真に向かって手を合わせる。
「この人だけは、いつも俺の味方だった。」
花音も静かに手を合わせた。
その姿を見て、蒼真は少しだけ目を細める。
「花音。」
「ん?」
「おばあちゃんは、よく言ってたんだ。」
『人はね、どれだけ傷ついても、誰か一人に愛されれば、また笑える日が来るよ。』
蒼真は優しく笑った。
「昔は信じられなかった。」
「……。」
「でも今は信じられる。」
花音は照れくさそうに笑う。
「それって私のおかげ?」
「そう。」
迷いのない返事だった。
その言葉に、花音の頬が赤く染まる。
「ちょっと恥ずかしい。」
「本当のことだから。」
蒼真は棚の引き出しを開け、一冊の古いノートを取り出した。
「これは?」
「大学一年の頃から書いていたノート。」
中には古い物件の写真や間取り、リノベーションのアイデアがびっしり書かれていた。
「すごい……。」
ページをめくる花音の手が止まる。
一枚の押し花が挟まれていた。
四つ葉のクローバー。
「これ……。」
「高校のとき、君が拾ってくれたもの。」
花音は首をかしげる。
「私?」
「覚えてないよね。」
蒼真は少し寂しそうに笑う。
「うん……ごめん。」
「謝らなくていい。」
そう言って、押し花をそっと元の場所へ戻した。
「君は忘れても、俺には宝物だから。」
花音は胸が締めつけられた。
この人は、どれだけ長い時間、自分を想い続けてきたのだろう。
その想いの深さに、嬉しさと切なさが込み上げる。
そのとき、仏壇の横に置かれた一枚の封筒が花音の目に入った。
表には、祖母の優しい字で書かれている。
『蒼ちゃんへ』
蒼真はその封筒を静かに見つめ、小さく息をついた。
「まだ……読めてないんだ。」
祖母が亡くなってから、ずっと。
大切すぎて、開くことができなかった手紙だった。