王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「王妃様のですか?」
 怪訝そうにアルマスは眉を寄せた。
「ええ。みんな、お母様のお礼状を褒めてくださったの。わたくしも勉強のために見てみたいと思ったのだけれど……」
 胸の前で両手を組んで、少し上目遣いでアルマスを見上げる。
 これもパーティーで誰かが言っていたのだ。殿方にお願いをするときは、可愛らしく手を組んで、上目遣いで「お願い」と言えばイチコロだと。
 二十歳も年上のアルマスにこの技が通じるかどうかは微妙なところだが、少し世間に疎い十七歳のエメリーネという設定であれば、これで問題ないはずだ。
「……コホン。エメリーネ王女。しばしお待ちください。探してみます」
「ありがとう、アルマス。頼りになるわ」
 そこでエメリーネはニッコリと微笑んだ。
「では、早速お願いしてもいいかしら? その間に、こちらの目録を確認しておくわね」
「御意」
 なんとかアルマスを追い払うことに成功した。
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