王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
17.
「テレジア神、もう一つ相談があります。わたくしに教育者がついたら、相談したいと思っていたことがあるのです」
 エメリーネの声は、告解室の狭い空間に静かに響き、天井の小さな窓から差し込む光が手元に花柄の影を落とした。
 窓枠の繊細な花の彫刻が、光と影を織り交ぜ、まるでテレジア神の加護を象徴としているみたいだ。
 エメリーネは深呼吸し、胸に秘めた思いを一つずつ言葉に変えていく。
「テレジア神がわたくしの教育者ですから……」
 訴えるように言葉を強めた。
「これからのわたくしには、政務を補佐する補佐官、護衛の騎士、身の回りの世話を手伝ってくれる侍女、それから……婚約者が必要だと思っております。どのような人物がいいか、それを相談したかったのです」
「なるほど……」
 窓の向こうからベルトルトの本音がこぼれたような、低い声の響きが聞こえてきた。
 エメリーネは彼の反応を感じ取り、笑みを抑えた。
「補佐官は、宰相閣下が幾人か候補を絞ってくれるようですが。やはり、信頼のおける者を側にはおきたいと思うのです」
「そうですね。身近な人間に足をすくわれるという話はよくあることです。ただ……今の同士には敵も多いでしょう。だから補佐官は最低でも三人。敵から一人、味方から一人、そしてそのどちらでもない者から一人」
< 111 / 154 >

この作品をシェア

pagetop