王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 エメリーネは、一瞬、赤い目を見開いた。
「敵からも選ぶのですか?」
 それはアルマスが推薦した者から選ぶということだ。つまり、アルマスの息がかかった者。
「そうです。好意ばかりに囲まると、悪意に気づきにくくなる。また、人の気持ちは伝染するものです。悪意を持つ者を好意に染め上げればいいのです」
 十七歳のエメリーネなら、この言葉の深さは理解できなかっただろう。だが、一度目の人生でアルマスに純潔を奪われ、悪女と罵られた記憶を持つからこそ、ベルトルトの言葉が胸に刺さった。
 あの時、自分は無知ゆえに操られ、孤立した。今は違う。自らアルマスと戦うことを選んだのだ。
「テレジア神の言葉に従い、補佐官を三人、選びたいと思います」
「ただ、何ごとも最終的に判断するのはあなた自身です。あなたが導き出した答えを信じるのです」
 ベルトルトの声は、まるで神の代弁者のように厳かだった。エメリーネは小さく頷き、窓の向こうにいるのがベルトルトだとわかっていながら、もどかしさを感じた。
 それでも、次の話題へと進める。
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