王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
 しかし、感傷に浸っている場合ではない。
 どうやら今日はエメリーネの十七歳の誕生日パーティー当日のようだ。となれば、王妃は一年前に亡くなっている。
(五年前に戻ってきたということかしら? お父様は、お母様が亡くなってからはすっかりと気を落とされてしまった。どうせなら、お母様が生きている時間まで……。いえ、わたくしは一度死んだ身。欲を出しては罰が当たってしまうわね)
 エメリーネは二十二年の人生に幕を下ろした。しかし今、五年前、十七歳のエメリーネとしてここにいる。
 あのとき、最期に見たのはオディロンの姿で、最期に聞いたのもオディロンの声だった。彼ならば、ガレッティ国を再建の道へと導いてくれるはず。ただ、あそこまで腐敗し、絶望に覆われた国を引っ張っていくのは、並大抵のものではない。
 だからこそオディロンを選んだのだ。
(五年前……オディロンはどうしていたのかしら……? 彼はあのとき、わたくしの誕生日パーティーに来てくれなかったかも……? 国境で蛮族が暴れて……)
 五年間の記憶というのも曖昧なものだ。
 覚えているのは、パーティー会場でオディロンの姿を見つけなかったこと。アルマスと踊ってから、エメリーネの生活ががらりと変わってしまったこと。
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