王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「ただオウネル侯爵家は……」
「もちろん、あなたの話を聞いて、わたくしが決めたことよ? 本来であれば、もう少しヨハン・オウネルという人を調べてから決めたいところだけれど、今のわたくしが誰か特定の人物を調べるとなれば、勘のいい人は気づくでしょう?」
 エメリーネが補佐官を求めているという話は、アルマスから他の者たちにも伝わっているだろう。
「シーラから見て、ヨハン・オウネルとはどのような方?」
「そうですね……」
 シーラの声が穏やかなものにかわり、エメリーネの髪を丁寧に編み込んでいく。
「よくも悪くも真面目な方です。だから父も、彼にラモン伯爵家を任せようと思ったのかと」
「えぇ。よくわかったわ。あなたは、ヨハンが好きなのね」
「え、ええ? エメリーネ様。な、なんで……あ、申し訳ありません。御髪が……」
 シーラが慌てたため、髪が少し乱れてしまった。すぐにブラシを手にし、もう一度梳き始める。
「ゆっくりで大丈夫よ。だけど決めました。ラモン伯爵が信頼を寄せている人物なら、わたくしの補佐官にもふさわしいでしょう。それに、王女の補佐官っていう肩書は、けっこう使えると思うのだけれど?」
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