王女エメリーネに悪女は似合わない~軍人公爵の盲愛に囚われて
「そうかしら? ありがとう。あなたにそう言ってもらえたら安心します」
 先日、ベルトルトから聞いた内容を、そのまま文章にした。見本を手にして内容を確認するアルマスの様子を観察していたが、一瞬、彼のオーラは紫色に変化したものの、灰色のまま黒く戻ることはない。
「この内容はどちらで学ばれたのですか?」
 アルマスの声には、探るような響きがあった。エメリーネは無邪気に笑った。
「あら? アルマスが母のお礼状が見つからないから代わりにって、参考となる本を置いていってくれたでしょう? それを見たのよ」
 アルマスが本を置いていったのは事実。だがそれは一般的な手紙の書き方といった内容で、王族のお礼状としては稚拙なものでもあった。アルマスはエメリーネが知恵をつけるのを恐れているのだ。
「さすがアルマスね。とってもわかりやすい本をありがとう」
「いえ。本の内容からここまで書けるのは、エメリーネ様の実力ですよ」
 にこやかに笑っているアルマスだが、オーラが灰色に黒が混じってまだらになっている。やはりやりすぎはよくない。ほどよく無知を装う必要がある。
「それからアルマス。補佐官の件ですが、わたくしからも一人、推薦したい方がおりまして」
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